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岩手県盛岡から四季通じて自然、食の情報を発信します。

静かなる大地

2010-04-26 19:22:07 | 日記
静かなる大地
池澤 夏樹著
朝日新聞社発刊
この本は明治以降の北海道開拓史におけるアイヌと和人(日本人)の関係を書いた物語です。
坂本竜馬が江戸にあがった時代に幕府は松前藩を北海道に送り統治をはじめました。 その後時代が江戸から明治にかわり多くの藩が開墾のため新天地北海道に渡った歴史がありました。
そこに静かに大自然を相手に作物、動物を糧として生活していた先住民アイヌがいました。
彼らには迷惑な話しです。土地の所有権などの意識をもたない彼らにすれば日本人の行いは理解できません。 地面に勝手に線を引き道を作り生活の場を追いたてて行きます。 やがて鹿は、銃による乱獲により激減して行きます。川に遡上する鮭も同じことです。アイヌが勝手に?とると密漁として取り締まりの対象になって行きます。
行き場を失うアイヌとともに生きようとする日本人もいました。 しかしそれは特別なことで同じ日本人からもアイヌからも疎まれて行きます。
日本人は、西洋からの近代的な農業技術を学び飛躍的に開墾を進めて行きます。
現代の農業に欠かせない農業機械のかわりにアイヌとともに馬を飼い育てます。それが思わぬかたちで使われます。それは軍馬として徴用されて行きます そのアイヌは人ではなく土人として扱われ同化をせまられ行きます。
やがて牧場主は悲しい最期をむかえます。牧場は、アイヌと日本人とで分割され人手にわたりばらばらになって行きます。
北海道にいる先住民アイヌと日本人のかかわりが語られた切ない物語りには、人として原点、存在意義を問う内容になっています。
岩手アイヌ文化研究会
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