先日のゼミのこと。3年生のゼミでは毎回、順番を決めて学生がレジュメを発表することになっている。彼はその日が担当だった。実はその彼は前回の発表の時は、「きょう発表資料を忘れたので、来週にさせてください」と授業前に突然申し出た。小生は内心、なにかあるなと思いながらも、「じゃ来週お願いします」とその日は仕方がないので、小生が用意していた別の内容の授業を行った。そして今回である。欠席するのではないか、また「来週に」と言ってくるのではないか、と思いながら待っていた。授業前トイレに行く途中の廊下で偶然に彼とすれ違ったが、異変もなかったので、きょうはすんなりいくと思ってっていた。そして授業開始、「じゃ、はじめよう。きょうは〇〇君だったね。お願いします」。ところが、なにも彼は言わない。目もあわせない。もともと目を合わすタイプではないが、頑なに下を見てままだ。そして一言。「やってません」。聞こえるかどうかの小さいな声だ。「え!」と小生。「なにを?」と小生。耳を疑い聞き返す。「レジュメのこと?」と小生。彼は目を合わせずにこくりと頷く。ここで怒ってしまうと、他の学生もいやな思いをする。どうしたものかと思いながらも、「しかたがないね」と、この日も小生が用意していた、別の内容の授業を行った。毎回、こうしたなにがあるのかわからないので、必ず別メニューを用意している。それは教員の責任として当たり前のことだが、心配なのは彼のことだ。腹は立つが尋常じゃない。なにもせずに授業に出てくる。そしてこちらから言うまで、なにも言わずにそのまま座っている。一度の問いかけになにも答えずに、そのまま黙っている。もう一回聞き出して、やっとやっていないことを告白した。小生もまじめに勉強してきたわけではないが、こうしたことはなかった。やらないならば、なにか仮病を使うとか、事前になんらかの形で連絡するとか、なにか策を講じてその場を切り抜けると思うのだが、それもまったくなかった。
考えられることは、いくつかある。一つはそうした当日になって、言ってもこれまでの先生はすべて認めてきた。だから彼はなにもやらずに授業に出てもそれが認められると思っている。二つ目は、人前で話すことができず、発表することが困難な状況になっている、心の病を患っている可能性だ。しかし前回はきちんと次の週にレジュメを発表している。それも内容としても申し分のないもので、小生は褒めたのだ。もともとかれは授業中ほとんど顔を上げない。反応を示さないタイプなのだが、今回彼にそうさせたものはなんなのか。小生はこの二つくらいしか思いつかないが、彼はどんな生活をこれまで送ってきたのか、なぜそうしたことができるのか、ある意味で、すごく勇気のある行動だし、普通はむしろ怖くてできないことなのだが、彼はそれをやり遂げてしまう。
「大学は学問を通じて、人間形成をする場である」。小生が卒業した獨協大学の言葉である。大学で習ったことは、卒業してもほととんど役に立たないし、それよりももっと覚え、勉強しなければいけないことはいくらでもある。だから小生もそのつもりで授業をしているが、それでも小生の言うことや教えることが、なにか学生自身の中で、世の中の仕組みに興味を持ってもらうことや、あきらめずに一生懸命やっていればなにか見つけることができるというような、人生観を感じてもらえればとありがたいと思って毎回授業に臨んでいる。だからレジュメの発表は二の次なのだが、今回のことはレジュメの問題ではなく、人として、人間としてなにか落ち度を感じていない、そんな彼の人生観が心配である。どんな指導をこれからしていけばいいのか。難しい。とりあえず、ラインで彼には来週までテーマは自由でいいので、2,000字以上のレポートを書いてくるように指示した。果たしてどんなレポートを書いてくるのか、それとも・・・。
考えられることは、いくつかある。一つはそうした当日になって、言ってもこれまでの先生はすべて認めてきた。だから彼はなにもやらずに授業に出てもそれが認められると思っている。二つ目は、人前で話すことができず、発表することが困難な状況になっている、心の病を患っている可能性だ。しかし前回はきちんと次の週にレジュメを発表している。それも内容としても申し分のないもので、小生は褒めたのだ。もともとかれは授業中ほとんど顔を上げない。反応を示さないタイプなのだが、今回彼にそうさせたものはなんなのか。小生はこの二つくらいしか思いつかないが、彼はどんな生活をこれまで送ってきたのか、なぜそうしたことができるのか、ある意味で、すごく勇気のある行動だし、普通はむしろ怖くてできないことなのだが、彼はそれをやり遂げてしまう。
「大学は学問を通じて、人間形成をする場である」。小生が卒業した獨協大学の言葉である。大学で習ったことは、卒業してもほととんど役に立たないし、それよりももっと覚え、勉強しなければいけないことはいくらでもある。だから小生もそのつもりで授業をしているが、それでも小生の言うことや教えることが、なにか学生自身の中で、世の中の仕組みに興味を持ってもらうことや、あきらめずに一生懸命やっていればなにか見つけることができるというような、人生観を感じてもらえればとありがたいと思って毎回授業に臨んでいる。だからレジュメの発表は二の次なのだが、今回のことはレジュメの問題ではなく、人として、人間としてなにか落ち度を感じていない、そんな彼の人生観が心配である。どんな指導をこれからしていけばいいのか。難しい。とりあえず、ラインで彼には来週までテーマは自由でいいので、2,000字以上のレポートを書いてくるように指示した。果たしてどんなレポートを書いてくるのか、それとも・・・。