NARAYA CAFE のできるまで

歴史あるリゾート、箱根宮ノ下駅前で、古い建物を利用したカフェ&ゲストハウスをオープンするため、改装にはげむ日々を綴る

今年の夏は山へ(北アルプス燕岳旅行記 前編:安曇野・中房温泉編)

2016-08-05 08:42:04 | 2016シーズン
ひさびさの旅ブログです。

思えば1月末に急ぎ足でインドを旅して以来、今年はほとんど旅らしい旅をしてきませんでした。
定休日の水曜日もTerrace棟工事の現場打ち合わせをしたり、定休日でないと出来ない作業をしたりとで一週間、ほぼ毎日宮ノ下に通う生活が続きました。

今年は工事の年だし仕方ないのだ、、、と自分に言い聞かせても、やはりテンションが落ちてきてしまうのが自分の性格です、というか病気です。
「健康のために、1ヶ月に1度以上、現在地から300km以上遠くへ旅をしなさい!」
とかドクターにお墨付きをもらいたいくらいです。(笑)



ということで、久々の遠出&子供たちを連れての夏休みの旅行は山へ行くことにしました。
昨年、尾瀬に行き、末っ子の小2男子も気分さえ乗れば結構歩くことを確認したので、今年は一段ステップアップしてもうすこし高い山へ行ってみることにしました。
そこで選んだのが北アルプス燕岳です。

北アルプスというと2000m以上のいわば本格的な登山ですが、この燕岳は麓からコースタイム5時間くらいで登れるので、入門者に人気です。
そして何より、この稜線に建つ「燕山荘(えんざんそう)」という山小屋が「泊まってみたい山小屋ナンバーワン」の座を常にキープしているのです。
「ええ山?ディズニーランド行きたい!」と言っていた小6長女も、この「泊まってみたい山小屋ナンバーワン」という言葉と各種雑誌の写真を見て、行く気になりました。




まず1日目は家を出て一路安曇野へ
圏央道が開通して近くなりました。




以前から行きたいと思っていた「安曇野ちひろ美術館」へ

この美術館はプランニングが素晴らしいですね。
「順路はこちら」とか「作品にはお手を触れないでください」といったような「〜しなさい」「〜すべからず」というタイプの表示が全くなく、来た人が自由に過ごせるように作られています。



こちらは「窓際のトットちゃん」に出てくる電車の教室をモチーフにした展示室
黒板にさりげなく、「トットちゃんに手紙を書いてみよう」とか「探検してみよう」といった子供向けのガイダンスが書かれています。



学校の机に座って子供たちは早速、お絵かき開始。



絵本のライブラリーも充実




30分もいると、子供たちはまるで自宅に居るように、本を読みながらくつろぎはじめました。
空間のチカラですね。

「北風と太陽」の話ではありませんが、「〜しちゃダメ」という表示が多かったり、係員に言われたりすると殺伐とした空気になってしまいますが、それが何もないのに子供たちをこんなに大人しくさせられるとは、、まさに「太陽的空間」の威力です。

NARAYA CAFEも「北風的空間」ではなく「太陽的空間」を目指したいです。






ちょうどこの7月に隣接する安曇野ちひろ公園内に「トットちゃん広場」なるものも出来たばかりだったので、そちらも見に行きました。
こちらは本物の電車の中に、トットちゃんの電車の教室を再現してあります。




昔のランドセルは現在のものよりだいぶ小ぶりだったようで、それを背負って記念撮影もできます。






ちひろ美術館のあまりの居心地の良さに長居しすぎてしまい、夕方、本日の宿「中房温泉」に到着。






ここがまた古き良き湯治場の香りを残す、素晴らしいところでした。
湯治場であると同時に、北アルプス登山の基地でもあったというところが、この温泉の特徴です。
明治時代、日本にアルピニズムを根付かせたウォルター・ウェストンなどもかつて宿泊したそうです。





とにかくここは温泉のパワーがみなぎっています。
裏の山からボコボコ吹き出してくる源泉をふるいのようなものに落として、空冷してから各浴槽に注いでいます。




それもそのはず、温泉成分分析表によると源泉温度は「92.1℃」とのこと。
すごい高温です。
これをさきほどのふるいで冷ますことで源泉掛け流しを実現しているのです。
ちなみにNARAYA CAFEの源泉は61.3℃くらいです。







敷地内には温泉プールや足湯・蒸し風呂などもあって、明治・大正のころ、まさしく一大温泉リゾートだった面影があります。
もっと立地が良かったら高度成長期に大資本が入って開発されたかも知れませんが、今では日本秘湯の会加盟の「秘湯宿」という位置づけで各種ガイドブックに紹介されています。
登山口近くなので、登山の前後についでに利用する(我々も登山口に近いという理由だけで選びました)人が多いと思われますが、温泉だけを味わいに来ても良いくらいの国内最強レベルの湯宿でした。









中でも素晴らしかったのが不老湯という男女混浴の新浴場。
女性専用タイムも設けられていて、えみと子供たちは夜、僕は「女性専用」が解除された翌朝に入りました。
石を組んで高温の温泉を徐々に冷ましながら流れるような構造にして浴槽を作り、その上に木で建屋が作られています。
左右対称に脱衣所が2箇所有り、ついたてもあるのは男女混浴時の利用を考慮してあるんだと思います。
洗い場も無く、至ってシンプルですが、風呂場に必要なエッセンスは全て詰まっている感じがしました。




その他にも湯治場の風情を残した木の風呂や、高温の源泉を高い位置から瀧のように落とす貸切風呂「滝之湯」など夕方5時から翌朝ではとても入りきれないくらいの温泉パラダイスでした。

どの風呂場にも日本の温泉旅館にありがちな、シャワーとカランの付いた洗い場ユニットがないというのも良かったです。
いわゆる「秘湯宿」と呼ばれる宿でも、ツアーを企画するためにエージェントから要求されたり、客からのクレームに答える形で洗い場のユニットを後から作ってしまう例が多いのですが(旧奈良屋旅館も例外ではありませんでした)、この宿はかつての湯治場の趣を守り通しています。

利用者の多くが登山者であるという特徴もあって、それが出来たのかも知れませんが、日本における「湯治」という文化を現在に伝える貴重な歴史遺産だと思いました。
また、冬にでも風呂に入りに来たいと思いました。
山登りのついでに来るにはもったいない宿です。



そうこうしているうちに夕食の時間。
明日は朝から山登りなので、しっかり栄養をっておかなくては、、、とここでステキな出会い(というか再開)がありました。

続きは後編で




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