五劫の切れ端(ごこうのきれはし)

仏教の支流と源流のつまみ食い

悪魔を便利に使う男 其の弐

2005-12-06 14:30:27 | 仏教以外の宗教
其の壱の続き

■1980年12月8日にジョン・レノンを射殺した男も、悪魔の命令に従ったと供述していましたが、小さな頃から神と悪魔の話を聞き、絵本から聖書へと進む読み書き訓練を経験している者と、『悪魔くん』などという漫画を楽しめる日本とは文化が余りにも違います。日本では、スナック経営者が自分の子どもに「悪魔」と命名したいと言って役所と大喧嘩したことも有りましたし、自称「悪魔」の早稲田大学卒業のロック歌手が商売していたりします。それも日本には本当の「悪魔」が定着していない証拠かも知れません。


1993年11月、8歳の女児への暴行未遂
1994年、13歳の女児への暴行未遂
1995年、女児への猥褻行為

■(仮称)ピサロ・ヤギという男には、毎年、悪魔が出入りしているようです。広島の警察で並べたウソ話も、全部、悪魔が喋らせたのだそうです。ペルーには妻子が居るそうですが、奥さんは彼の本名を知らないようですし、夫の前科も性癖もまったく知らないようです。この女性と結婚した時には悪魔は去っていたのか?自分の子供を産み育てる毎日の生活では、悪魔は出入りしていなかったのか?そもそも、この男が便利に使う「悪魔」という言葉は何を意味しているのか?疑問は尽きません。

■12月5日時点では、日系人のパスポートも闇ルートで購入したと自供しているようですから、自分の血筋すらも詐称していたことになります。自分のアイデンティティを捨てて暮らすストレスは、悪魔を呼び込む原因になるかも知れませんが、「悪魔」話自体もウソだとしたら、「悪魔A」が「悪魔B」の話をさせた事になりますから、論理は無限後退を始めてしまいます。彼の精神は悪魔が無限に積み上がった奇怪な堆積物になってしまいます。

■キリスト教の言説は、乱暴に言ってしまえば半分以上は「悪魔」に関する研究に捧げられています。サタンだのルシフェルだの、天使の階層に対応するように「悪魔」の名簿も充実しています。中世の欧州で吹き荒れた魔女狩りやら異端審問の狂気は、悪魔狩りの名目で千年も続きました。神への信仰を強めるには、仮想敵として悪魔もどんどん強力で悪賢くならねばなりません。キリスト教とはまったく関係の無い古代ギリシア人が考えた「デーモン」という得体の知れない生命エネルギーを取り込んで、キリスト教の「悪魔」世界は絢爛豪華でとても魅惑的に飾り立てられてしまいました。質素や忍耐を命じる神様は、「悪魔」に比べると随分と貧乏臭いイメージになってしまいます。

■神への信仰が破れた場合に、それ以上の情熱が悪魔崇拝に向かうのはありふれた話です。芸術作品が神の祝福によるのか、悪魔の誘惑によるのか、欧州は今でも議論をし続けています。つまり、キリスト教の歴史は「悪魔」の歴史と表裏一体になっているわけです。でも、何だか「悪魔」は古代ペルシアあたりで造形されたようです。素朴なキリスト教理解では、「悪魔」の代表はエデンの園に居た蛇になるようです。『創世記』第2章を復習してみます。


……主なる神は東のかた、エデンに一つの園を設けて、その造った人をそこに置かれた。また主なる神は、見て美しく、食べるに良いすべての木を土からはえさせ、更に園の中央に命の木と、善悪を知る木とをはえさせた。……

有名な「エデンの園」の創造話です。

其の参に続く

最新の画像もっと見る