朝比奈隆 生誕100年記念演奏会

2008年07月28日 | 指揮者 朝比奈隆伝 取材日記
すっかりご無沙汰してしまいました。姑の病気のことでばたばた・・先日は連休中の夜中に腹痛をうったえて呼び出しをうけ、結局朝、入院。診断は感染性腸炎でした。


さて、七月九日は朝比奈隆生誕100年でした。しかし、わたしはチケットを手に入れたものの、それもな、なんと、一列めのど真ん中のかぶりつき席をリクエストしたのでしたが、上記に似たり寄ったりの家庭の事情がその日もできてしまって、参れなかったのでした。

当日のザ・シンフォニーホールでの演奏会のことは、ホルンの近藤望さんから聞くことができました。
曲目はブルックナーの9番。

指揮は大植さん。
指揮台にはスコアのかわりに、朝比奈の写真が置いてあり、燕尾服のポケットにも朝比奈先生の写真をひそませていることを、カーテンコールのときに明かしたそうです。

その態度は朝比奈先生への深い敬愛の気持をしめしていた・・・。
ま、なかにはそういうアピールの仕方をやりすぎと感じるひともいるでしょう。しかし、舞台人というのは、そんなことでもなんでもぐいと押し出して、押しの強いタイプでないと成功しないものです。

朝比奈先生へのインタビューで私が感じたのも、そういうぐいぐいという押しの強さ。
大植=朝比奈のようなことは、朝比奈=山田耕筰にもいえるのです。
朝比奈は山田耕筰のことを、とっても大切に思っていたということを、私に強くアピールしましたし、実際周辺取材でもその接し方は検証できました。

アピールのためのアピールでなく、尊敬する気持の表現の仕方が、普通でない、と考えればわかりやすい。

演奏についての近藤氏の指摘でおもしろかったのは、大植さんの演奏は朝比奈先生とくらべると「すっきり、くっきり」という感じでラムネと日本酒ほどの味わいの違いがあったとおっしゃっていたこと。
どちらがすきかといわれれば、印象の深さにおいて「朝比奈」だとおっしゃいました。

大植さんが大フィルの指揮者になってから、大フィルの音が変わってきたとはいわれることですが、これをやはり近藤さんも感じたということです。

すなわち管楽器の音色が決定的に違っていたこと・・・・

ミスは少なくなっていたけれど、音量が圧倒的に不足している・・・

近藤氏はそれについては、聞いていてイライラするほどだったと感想を述べていました。

近藤氏は「バタ臭くて重厚な個性」を失ってほしくない、と結びんでいます。

含蓄があります。

これだけでも、朝比奈の演奏の特徴がよおおおおく解るのです。



最新の画像もっと見る