素人が書いた野菜作りの本

野菜作りの本を作成してみました、一度見て下さい。 nakai.manabu@rouge.plala.or.jp

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2013年01月10日 07時47分46秒 | 日記

*第9章 植物の生育と土のpH

 * 9-1 総説 

植物の生育には光・水・空気と肥料であるが、肥料は適切でないと意味がない。植物の栄養は、エネルギーは太陽から、二酸化炭素は空気から、水は土から吸い上げられ、光合成を通し炭水化や糖を形成する。植物は、根の末端にある毛状細胞を通して栄養や水を土から吸収する。植物の成長に必要な元素はおよそ16種類である事が知られていて、これらは水溶性である。バクテリアは有機物を分解する。土・植物・バクテリア・大気は、お互いに緊密な関係を保ちながら生態のサイクルをなしている。 

* 9-2 土のpH 

土の酸度やアルカリ度はpHで表わされる。植物の健全な成長には最も適したpH範囲があり、ベテランの農業従事者は植物を育てる最も重要な因子であると言いきっている。 

* 9-2.1 pHの定義 

  pHとは、水素電位にあたるもので、土中の水溶液の水素イオンの数(H+プラスに荷電している)と水酸化イオンの数(OH-マイナスに荷電している)。もしこれらの2つのイオンが同数ならば土は中性である。水素イオンの数が多ければその土は酸性である。 

植物の生長に適した範囲 pH4.5~8.

       pH

 

1         4.5       7    8       14

 

      酸性       中性   アルカリ性

 

 9-2.2 植物成長に対するpHの働き 

 植物の栄養源は、水に溶解して根から吸収されて初めて養分となるが、栄養素となる物はpHの範囲で水に溶解する度合が異なる、大概の植物はpH5.5~7.5の間で良く吸収される。土のpHは根の細胞に直接影響し、土のpHが適当でない場合、浸透圧のバランスが崩れて植物の生長が悪くなる。 

ジャガイモは酸性領域(4.8~6.5)を好み、アザミはアルカリ性を好む、あじさいは紺色(4.5~5.5)、ピンク(6~8)と、pHが異なると色が変わる場合もある。兎に角、pHの範囲で植物の栄養素の水に対する溶解度が異なり、土の適正なpH範囲が重要である。一般的な植物のpH範囲は下記のようである。 

Hが4~5の範囲が適切な植物 

*ミズザゼン *ナナカマド *ツバキ *イワナシ 

Hが5~6の範囲が適切な植物 

*アマリリス *イトスギ *コケモ類 *キイチゴ*栗 *コーヒー *イチヤクソウ *キイチゴ *サボテンの一種*ワケギ *いちご *アイリスジャパニーズ 

Hが6~7の範囲が適切な植物 

*アスパラガス *花みずき *ガーベラ *茄子 *玉ねぎ*マスクメロン *ブナ *えぞ菊 *米*トウモロコシ *小麦 *スイカ *キャベツ *ブロッコリー *ピーマン

 Hが6~8の範囲が適切な植物

 *キュウリ *アーモンド *シクラメン*タンポポ *ユリ *草・果樹園 *ヒヤシンス *エンドウ *コスモス *菊 *桜 *オクラ*アサガオ *人参 以上、適切なpHが4より低いものや8を越えるものは少ない。  

* 9-2.3 養分が植物に吸収されるpH範囲

 窒素が植物に吸収されるpH範囲

 pHが5.5~8で温度10℃以上の時、硝酸バクテリアは活発に作用し、窒素養分はpH6.5~7の時植物に最も良く吸収される。

 ②リンが植物に吸収されるpH範囲

 Hが、6.5付近が最も吸収されやすく、pHが6以上になると鉄やアルミが水に不溶解となり、吸収されにくくなる。

 ③カリウムが植物に吸収されるpH範囲カリウムが吸収されやすいpHは6.5~7である。

 ④マグネシウムが植物に吸収されるpH範囲マグネシウムが吸収されやすいpHは中性

 ⑤その他の元素が植物に吸収されるpH範囲

 鉄・亜鉛・銅・マンガンは植物の成長に微量必要で、酸性ならよく溶けるが、植物があまり多く吸収すると成長にマイナスで、バランスのとれるように石灰を播いてpHを調節する。微量元素の吸収はpHは6.5付近が適切である。即ち土のpHが6.5~7にある場合は、カルシュウム・マグネシウム・カリウムが植物に吸収できる状態を保てる。