入試に出る!!時事ネタ日記

現役の社会講師が最新の時事問題をコメント付きで紹介します!

神奈川県立高校入試 講評速報!

2007-02-23 12:19:26 | 社会

3時過ぎに試験が終わり、その足で教室に帰ってきた生徒は口々に、

「今年の社会は難しかった」

と言っておりました。

神奈川県立高校入試社会の講評を行いたいと思います。

まず大問の1の地理ですが、(ア)の()の問題では東京から見た地球の裏側の経度と緯度を答えさせる問題でした。個別授業で最後に教えた生徒には、裏側の経度緯度の出し方を説明してあったので、問題はなかったと思いますが、過去の出題例から考えると意表をつかれた受験生が多かったと思います。

次に(イ)の問題では、時差計算が出題されましたが、かなり複雑な問題でこれも過去にないものでした。冷静に対処すれば仕組み自体は易しいものの、問題の建て方は数学に近いものがあります。

そして(ウ)の問題は消去法で解答するのが近道ですが、それだけで答えを特定するのには相当な勇気が要るはずで、細かい計算をしていたらかなりの時間を取られていたはずです。私の授業では常々概数計算をさせていますが、本番の緊張感を考えると、これもやはり難問と言えるでしょう。このような細かい計算は(カ)の()でも見られ、今回のテストの方向性をはっきり示しています。

さらに(オ)の()は都道府県の知識ですが、中学受験を思わせる問題で、これまでより明らかに問題のハードルは高くなっています。

大問2の歴史ですが、(ア)では三内丸山遺跡の場所を問う歴史地理で、難しいですが一応想定内。(エ)では「細川氏と山名氏の対立」としか説明せず、応仁の乱を特定しなければならない難問が出ています。

大問3の公民ですが、(ケ)の()では国連難民高等弁務官事務所が問われましたが、これは問題文にちゃんと難民の定義が与えられていたので、冷静に対処すれば確実に正解になったはずです。

全体的に今回は地理が難問ばかりです。県入試では2・3年生の内申点しか入試に反映されないため、1年生時の社会の学習が手薄で、地理に関しては苦手とする生徒が多いだけに、この傾向は全体の平均点を下げると考えられます。また、学校で教わる地理は概して調べ学習で、基礎知識の抜けている生徒や問題演習の足りない生徒はかなり苦戦したはずです。

もちろん歴史や公民ではバランスをとり、従来どおりの問題水準でしたが、緊張が最高潮に達した雰囲気の中で、しょっぱなの第1問で難問続きとあっては、受験生の気持ちを「折って」しまう危険性のある試験でした。

神奈川県の入試問題は、特に社会は易しすぎるという意見が強かったので、今後の社会科学習の重要性を訴えるという意味で一つの方向性を示したと言えそうですが、今回の受験生にとっては気の毒な出題と言えるでしょう。

なお、神奈川県立高校の独自問題ですが、横浜翠嵐は5教科中主要3科(英数国)、外語短大付属は5教科中英語のみが自校作成です。エリア的には上位校の川和高校や市ヶ尾高校、人気の荏田高校などは共通問題でした。従ってこの社会科のテストは全ての学校が共通して受けたことになります。

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