散歩と俳句とスワローズ

2016年に大野鵠士宗匠と出会い
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源氏物語の世界の入口へ

2020年04月25日 | 読書
< 近所の「築水の森」に咲いていた カタクリの花 >

 源氏物語の原文は五十四帖(じょう)からなる長編小説ですが、光源氏を主人公にした物語は三分の二ぐらいで、それ以降は光源氏の死後、息子の薫大将が主人公の話です。池田弥三郎さんは「光源氏の一生」の中で、光源氏の死後の部分(宇治十帖)を思い切って切り捨て、光源氏の生涯のエッセンスだけをコンパクトにまとめて紹介してくれています。

 話の大筋をうまく整理して再編成してあるので、おおむね「源氏物語」とはこんなストーリーなのだという事と、女性遍歴の多いポルノまがいの小説ではなく、様々な人生の苦悩を重ねて主人公が成長(必ずしも善人としてではなく)してゆく物語だという事が概ね理解できます。源氏にも帝にも何人も妻がいて、その係累を含めて登場人物が多く、複雑に絡み合うので、用意された「関係図」で確認しながら丁寧に読み進みます。読みやすくて面白いので、数日で読み終えました。

 それにしても、西暦1000年は西洋文学にも長編小説がまだ存在していなかった時代です。(と、池田教授は書いています)紫式部という女性が、一人の男性の誕生から老年までの人生を描き切ったという事実が、何としても驚愕に値します。

 「光源氏の一生」で物語の大筋は理解できたので、次に角川文庫ビギナーズクラシック「源氏物語」にトライしました。こちらは五十四帖が順番に並び、各帖は「あらすじ→ポイント箇所の現代語訳→その原文」の構成となっています。巻末には人間関係の分かる【系図】が十種類あまり付いているので、一帖一帖を確認しながら読み進めます。勿論「宇治十帖」も含めての完全なダイジェスト版なので、全帖を一応通読・・・と言いたいところですが、原文はほぼ飛ばしながら「あらすじとポイント」だけを完読いたしました。

感想1
時代が違うとはいえ、男の身勝手がまかり通って、沢山の不幸を作り上げていったのだな、という思い。
感想2
世の中の仕組みが現代と異なるとはいえ、色々なタイプの女性が存在していて、一人一人が悩み苦しむのは現代と共通している、という思い。

 こんなことを感じながら読んでいましたが、ここまで親しむことが出来た以上、原文は無理にしても歴代の「源氏物語全訳」の中で、どれか一つは読んでみたいという欲望を感じます。古くは与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子。近い所では瀬戸内寂聴、角田光代。林真理子の異色本もあります。その中で、瀬戸内寂聴さんの全訳は文庫本10冊で簡単に手に入りそうなので、こちらで行こうかと考えました。
 ネット上に電子版の”お試し”を見つけたので少しだけ読んでみましたが、こ、こ、これは、現代文でもまだるっこい!ちょっと二の足を踏んでいる現状ではあります。

2 コメント

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朝送ったのですが (きりぎりす)
2020-04-27 13:05:03
失敗だったみたいです。
娘も家内も大ファンです。女性の感性に響く物語なのでしょうか。石山寺、徳川美術館…話は広がります。
山影にカタクリの花春の声
山影に妖精が来る春が来る
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複雑な心理描写が (健人)
2020-04-28 08:46:49
女性の共感を得るのでしょうかね。
平安時代の貴族の女性の世界では取り合いで読まれたなんてことも書いてありました。やはり世界に誇れる文学作品という事でしょうか。

カタクリの俳句有難うございました。
まさにそんな雰囲気で片隅にそっと咲いていました。
春日井の築水池付近は意外にいいところです。春は沢山の人がウオーキングをしています。
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