理屈が通らねえ  岩井三四二著

2014年03月09日 | 読書
作者は岩井三四二さんという人で、今まで一度も読んだことのない作家さんでした。
格別に面白かったとか、感動したとかいうお話ではないのですが、
江戸時代の数学者の若者(武士)という主人公の設定が先ず興味深かったです♪

江戸時代は武家の家柄に生まれても、
次男三男だと部屋住みと言って一生独身で終わる人も多かったとか。
そんな中、主人公は数学大好き人間で、ある問題を解いて表彰寸前?までいくのですが、
他にもっと優秀な解法を出した数学者に栄誉をさらわれ、
そんな解法が本当にあるのかと納得できず、その人物を仇討のように追い求めて、
各地の数学好きな商人などに数学を教えながら無銭旅行のような旅をします。
(ここらへん、芭蕉さんの俳句旅にも似ていますね)
その行く先々でいろんな事件に首を突っ込み、危ない場面にも巻き込まれるという、
ユーモア小説的な語り口で肩の凝らないお話でした。

江戸時代の日本の数学と言うのは学生時代に習ったこともなく、
日本史で学者の名前ぐらいは出て来るものの、
数学はすべて西洋から来たものと言う常識を持っています。
でもこの本を読むと、そんなことはなかったようで、
円周率とか、何々算とかというのが結構日本独自の発達を遂げていたようです。
(その頃すでに西洋から入ってきたものも混ざっていたのでしょうが・・・)

物語の最後は仇のように追い続けた数学者から解法の説明を受け、
自分の未熟さに気付く主人公なのですが、
その数学的な説明が自分には”ちんぷんかんぷん”ではあるものの、楽しいものがありました。

作者の岩井さんは岐阜県出身の人で、ユニークな時代物を沢山書いているようです。
今日また新たに一冊借りてきましたが、こちらの方がさらに面白そう♪

「あるじは家康」という作品ですが、
家康の有名無名の家臣達を主人公にした短編の連作で、家康の十代から順を追って書かれ、
今までの常識とは違う家康の人物像が描かれていくようですが、
八つぐらいある短編の中で、今日は3つまで読みました。
同様の作品で、「あるじは信長」「あるじは秀吉」という一連のシリーズもあり、
珍しい切り口の時代小説に興味をそそられます。


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