久々に山の話です
(もっとも本の紹介だが)。
実は先日たれぞ~さんに、以前紹介した「神々の山嶺(いただき)」他、山関係のマンガをいくつかお貸ししました。そしたら彼女が素敵なレビューを書いてくださいました!私はレビュー苦手なので嬉しかった。ホントにありがとう!!
で、彼女を通じて「神々の山嶺」の登場人物のモデルとなった人の話やら、「神々の~」に出てくるマロリーという登山家の謎についての本が出ている事なんかも芋づる式に知ることが出来ました。
で、早速買ってみたのがこちら。

佐瀬稔「狼は帰らず アルピニスト・森田勝の生と死」。中公文庫。
「神々~」の主人公の1人である羽生のモデルとなった方の生涯を描いたノンフィクションです。
なんせレビューが苦手なので、文庫の裏表紙に書いてある紹介文を引用しますね。
〝狼〟と呼ばれ、20年間攀じ登ることしか考えていなかった孤高のクライマー森田勝。谷川岳、アイガー、K2と、なにかに復讐するかのように、森田は死と隣り合わせの岩壁に挑み続けた。登山界になじまず、一匹狼として名を馳せた男がたどった修羅の生涯を、迫真の筆に描く山岳ノンフィクションの名作。
「神々~」に出てくる羽生さん、そのまんまでした。あまりに純粋過ぎるために傷つきやすい人間だったのですね。傷つくことに慣れ、少しでも現実を忘れる方向に行けばここまで傷つかずに済むものを…と彼を知る多くの人が語っています。
モデルというか…ホント、「現実の出来事を土台にして創作したフィクション」です。「神々~」の中で描かれている羽生のエピソードは、この「狼~」の中でほとんど同じような描写で描かれています。
「ザイルパートナーが不意の事故で動きが取れなくなり、このままではふたりとも凍死するという時どうするか?」という会話の中に割って入り、「俺なら切る。巻き添えになりたくない」と主張する。
仕事の都合がつかないから、登山に参加できないという仲間に対して「山と仕事とどっちが大事なんだ!?会社が休みを取らせてくれないと言うのなら辞めろ!」と詰め寄る。
難攻不落と言われた岩壁に初登攀し、浮かれる余り…パートナーの目前で「俺一人の力で登ったんだ!」と発言し、パートナーは憤慨する。
エベレストへの遠征に参加するが、頂上アタックの際、第二陣に据えられた事にどうしてもガマンが出来ず、自分だけ山を下りてしまう。しかし本当は第一陣には登頂は無理だろうという考えから、第二陣に腕利きを集め、本来なら自分が登頂出来る筈だったのに…(実際には世界第二位のK2への遠征)。
長谷なる人物に何故か嫉妬のようなものを抱き(これも実際に長谷川恒夫という人物がモデルになっている)、彼がこれからグランドジョラスに登るというのを知って、その前に自分が登攀するのだと意気込み、そして滑落事故により失敗して大けがをし、結局長谷が登頂に成功する。
等々、同じエピソードが満載です。
森田勝さんは、グランドジョラスでの怪我の後、まだ怪我が治りきらないうちに再びグランドジョラスに挑み…帰らぬ人となってしまいました。
「神々~」ではグランドジョラスに再挑戦はせず、そのまま行方不明になってしまいます。その後深町なる人物が偶然ネパールで羽生に会い…と話が続いてきます(作品の冒頭でそのシーンが描かれ、その後深町が帰国して羽生について調べる…という構成)。
「神々~」を読んだ時、ものすごい衝撃を受けましたが、ノンフィクションである「狼~」を読んだ時は…衝撃よりも何か違うモノを感じました。何かと言われると分かんないんだけど、感情移入しやすいタチのなごいくが、気持ちがどん底に落ちなかったのは…やはり実際の森田さんの最期が寂しくなかったからかも知れません。
森田勝さんは、亡くなった当時奥さんとお子さんがいらっしゃいました(お子さんは多分なごいくと同年代)。包んでくれる家族がいて、それでも「遂げなければいけない何か」があって、グランドジョラスに急いだんだと思う。もしここで登攀に成功していたら…と思うと悲しいけど、それでも彼が無理を押してでも挑まざるを得なかった気持ちは分かる気がしました。
「神々の山嶺」もだけど、この「狼は帰らず」は山モノというのとは別に読んでいただきたい作品ですね。
特に「神々の山嶺」を読まれた方は、是非こちらもお読みください!!
さて。「神々の山嶺」で物語の核となった「マロリーのカメラ」、そのマロリーの死と、エベレスト初登頂に関する疑惑に関連する本をたれぞ~さんがお買い求めになりました
。
「そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記」
今度たれぞ~さんからお借りできることになりました~。たれぞ~さんいつもありがとう!!
私もすぐにでも買いたいと思ったけど、ハードカバーで…お値段も結構する(笑)。まずは先に「狼~」を読み終えたので、今度軍資金がある時にこれを注文するつもり。でもそれはいつのことか分からないので…先にお借りすることにしました。
私はマロリーについては「神々~」で読んだ程度にしか知りません。
「何故山に登るのか」という問いに「そこに山があるから」と答えたのがマロリー。名前は知らなくてもこの問答は有名ですよね(私も最初はこれしか知らなかったよ)。
エベレスト初登頂は、確認されているモノは1953年のヒラリーとテンジン(シェルパ)という事になっています。が、それ以前に1924年にアタックしたマロリーとアーヴィンが登頂をなしえたのか否か、これがずーっと議論を醸しているのです(現在では登頂できなかった説が一般的)。
マロリーとアーヴィンは少なくとも頂上まで300mというトコまでは到達していたようですが、いかんせん本人達は遭難してるし、今みたいにトランシーバーもへったくれもないので確認が取れず。
結局、当時の装備では登頂は無理だろうという説が一般的になっているようです。酸素ボンベもなかったみたいだし。
マロリーとアーヴィンについてはまた今度~。

実は先日たれぞ~さんに、以前紹介した「神々の山嶺(いただき)」他、山関係のマンガをいくつかお貸ししました。そしたら彼女が素敵なレビューを書いてくださいました!私はレビュー苦手なので嬉しかった。ホントにありがとう!!

で、彼女を通じて「神々の山嶺」の登場人物のモデルとなった人の話やら、「神々の~」に出てくるマロリーという登山家の謎についての本が出ている事なんかも芋づる式に知ることが出来ました。
で、早速買ってみたのがこちら。

佐瀬稔「狼は帰らず アルピニスト・森田勝の生と死」。中公文庫。
「神々~」の主人公の1人である羽生のモデルとなった方の生涯を描いたノンフィクションです。
なんせレビューが苦手なので、文庫の裏表紙に書いてある紹介文を引用しますね。
〝狼〟と呼ばれ、20年間攀じ登ることしか考えていなかった孤高のクライマー森田勝。谷川岳、アイガー、K2と、なにかに復讐するかのように、森田は死と隣り合わせの岩壁に挑み続けた。登山界になじまず、一匹狼として名を馳せた男がたどった修羅の生涯を、迫真の筆に描く山岳ノンフィクションの名作。
「神々~」に出てくる羽生さん、そのまんまでした。あまりに純粋過ぎるために傷つきやすい人間だったのですね。傷つくことに慣れ、少しでも現実を忘れる方向に行けばここまで傷つかずに済むものを…と彼を知る多くの人が語っています。
モデルというか…ホント、「現実の出来事を土台にして創作したフィクション」です。「神々~」の中で描かれている羽生のエピソードは、この「狼~」の中でほとんど同じような描写で描かれています。
「ザイルパートナーが不意の事故で動きが取れなくなり、このままではふたりとも凍死するという時どうするか?」という会話の中に割って入り、「俺なら切る。巻き添えになりたくない」と主張する。
仕事の都合がつかないから、登山に参加できないという仲間に対して「山と仕事とどっちが大事なんだ!?会社が休みを取らせてくれないと言うのなら辞めろ!」と詰め寄る。
難攻不落と言われた岩壁に初登攀し、浮かれる余り…パートナーの目前で「俺一人の力で登ったんだ!」と発言し、パートナーは憤慨する。
エベレストへの遠征に参加するが、頂上アタックの際、第二陣に据えられた事にどうしてもガマンが出来ず、自分だけ山を下りてしまう。しかし本当は第一陣には登頂は無理だろうという考えから、第二陣に腕利きを集め、本来なら自分が登頂出来る筈だったのに…(実際には世界第二位のK2への遠征)。
長谷なる人物に何故か嫉妬のようなものを抱き(これも実際に長谷川恒夫という人物がモデルになっている)、彼がこれからグランドジョラスに登るというのを知って、その前に自分が登攀するのだと意気込み、そして滑落事故により失敗して大けがをし、結局長谷が登頂に成功する。
等々、同じエピソードが満載です。
森田勝さんは、グランドジョラスでの怪我の後、まだ怪我が治りきらないうちに再びグランドジョラスに挑み…帰らぬ人となってしまいました。
「神々~」ではグランドジョラスに再挑戦はせず、そのまま行方不明になってしまいます。その後深町なる人物が偶然ネパールで羽生に会い…と話が続いてきます(作品の冒頭でそのシーンが描かれ、その後深町が帰国して羽生について調べる…という構成)。
「神々~」を読んだ時、ものすごい衝撃を受けましたが、ノンフィクションである「狼~」を読んだ時は…衝撃よりも何か違うモノを感じました。何かと言われると分かんないんだけど、感情移入しやすいタチのなごいくが、気持ちがどん底に落ちなかったのは…やはり実際の森田さんの最期が寂しくなかったからかも知れません。
森田勝さんは、亡くなった当時奥さんとお子さんがいらっしゃいました(お子さんは多分なごいくと同年代)。包んでくれる家族がいて、それでも「遂げなければいけない何か」があって、グランドジョラスに急いだんだと思う。もしここで登攀に成功していたら…と思うと悲しいけど、それでも彼が無理を押してでも挑まざるを得なかった気持ちは分かる気がしました。
「神々の山嶺」もだけど、この「狼は帰らず」は山モノというのとは別に読んでいただきたい作品ですね。
特に「神々の山嶺」を読まれた方は、是非こちらもお読みください!!

さて。「神々の山嶺」で物語の核となった「マロリーのカメラ」、そのマロリーの死と、エベレスト初登頂に関する疑惑に関連する本をたれぞ~さんがお買い求めになりました

「そして謎は残った 伝説の登山家マロリー発見記」
今度たれぞ~さんからお借りできることになりました~。たれぞ~さんいつもありがとう!!
私もすぐにでも買いたいと思ったけど、ハードカバーで…お値段も結構する(笑)。まずは先に「狼~」を読み終えたので、今度軍資金がある時にこれを注文するつもり。でもそれはいつのことか分からないので…先にお借りすることにしました。
私はマロリーについては「神々~」で読んだ程度にしか知りません。
「何故山に登るのか」という問いに「そこに山があるから」と答えたのがマロリー。名前は知らなくてもこの問答は有名ですよね(私も最初はこれしか知らなかったよ)。
エベレスト初登頂は、確認されているモノは1953年のヒラリーとテンジン(シェルパ)という事になっています。が、それ以前に1924年にアタックしたマロリーとアーヴィンが登頂をなしえたのか否か、これがずーっと議論を醸しているのです(現在では登頂できなかった説が一般的)。
マロリーとアーヴィンは少なくとも頂上まで300mというトコまでは到達していたようですが、いかんせん本人達は遭難してるし、今みたいにトランシーバーもへったくれもないので確認が取れず。
結局、当時の装備では登頂は無理だろうという説が一般的になっているようです。酸素ボンベもなかったみたいだし。
マロリーとアーヴィンについてはまた今度~。
