【花子】は昭和24年上野動物園に貰われてきた。
戦後復興に明るい話題を振りまいた象さんだ。
昭和29年に井の頭恩賜公園の”動物園”に移転した。
梅子や春子という子供がいたこと等知る由もなかったが、今年62歳。
こう見ると、随分とご老体で、餌を食べるにしても、歯がないので
うまく噛めないでいる。、
口にくわえているチュウブはギザギザの蛇腹状。
口の中を歯磨きとはいかない。
掃除しているかのようだ。
飼育員が掃除していた竹ぼうきを渡すと、
穂先を上手に使って身体を掻き始めた。
ちゃんと、鼻で柄の長さを調節して
掻く位置に合わせている。
あと何年生き続けるのだろう・・・・
アジア象として本能を十分発揮したのだろうか?
自分の故郷はもうこの檻の中だと思っているのだろう。
住めば都か?
長いこと、子供たちを楽しませてくれた象なのだ。
花子が日本にやってきた頃に産まれた子どもたちは
団塊の世代の人たちだったのかと、思うと、
もうみんな定年を迎えて第二の人生を生きている高齢者なのだと
改めて感慨深いものを感じさせる。
時代が変わり、政治が変わるこの世に生きる
花子の姿は総てを達観したかのように思えるのが
不思議だ。
なんか親近感が。。。