人間社会のイジメの構造を見たような気持にさせられた。
動物園でお猿さんを観てきたが、
今回の「井の頭自然文化園」の中にある【猿の檻】の異様な様子には
涙が出た。
猿山の柱の天辺に
ボス猿がジ~っと、身動きだにしないで
佇んでいる。
その周りにある柱には親子猿が2~3頭群れている。
他の猿は山を囲むようにして在る檻の近くで
子猿同士、母猿と小さな子猿がじゃれ合って
遊んでいる。
ここまでは普通の猿の日常生活だ。
しかし、どうもおかしい。
猿たちの動きにダイナミックさがないのだ。
ココと思えばまたアチラっていう
猿らしい動きが見受けられず、
また、
キャキャと鳴く声すらなく、全く静まり返っているのだ。
コンクリートの山の中腹に目をやると、
ギスギスに痩せた子猿が1頭、柱の下まで
ヨロヨロとしながら近ずいたり、遠のいたりしているのだ。
この猿、明かに悲しそうな、寂しそうな
顔をしている。
毛も抜け落ちて、痛々しいのだ。
食べ物さえ口にできないようだ。
親猿も仲間の猿たちも
このお猿さんには近づこうともしない。
じ~と見届けていると
普通なら、親猿や兄弟か姉妹の猿が近づいてきて、
この可哀想な猿を労わるのに、
その様子も見られない。
どうも苛めに遭っているようなのだ。
誰かが助けて労わってあげられない雰囲気が
静まり返った猿山をつくりだしている。
そう、ボス猿が睨みをきかせているからだ。
誰かが助けようものなら、
このボスに睨まれ、群れから追放されかねない。
飼育員ですら手を拱いているようだ。
何故、仲間から外され、誰にも相手をされなくなったのだろう、
と
心配になった。
猿山で権力闘争があって、今のボス猿がリーダーになったからなのか。
それとも
ボス猿の餌を失敬して、こてんぱに痛めつけられ、
失意の末に
仲間外れにされたのか。
それとも・・・・・・・
いろいろ思いめぐらしてみたがわからない。
学校の中での苛め、会社の中での苛め、社会の苛め
垣間見ているような光景だ。
そら恐ろしく、逸れ猿の姿と行く末を思うと
思わず
涙目になった。
猿社会のことは判らないが、
人間の社会を映す鏡であることに
変わりはない。
弱肉強食
睨まれても助ける、手を差し伸べられる勇気
を
私たちの社会は持ち合わせている
と
断言できるのだろうか。