今日は図書館で借りてきた本について。
『ジュリーの世界』という小説だ。
著者の増山実氏のことは存じ上げなかったが、
放送作家として著名な方で、この本では第10回「京都本大賞」を受賞している。
話の舞台となるのは1970年代後半の京都だ。
三条京極交番に着任した新人警察官・木戸らの日常を描きながら、
彼らの日常に時折姿を見せる、謎のホームレス「河原町のジュリー」。
本のタイトルにも名前を覗かせる、この人物は、一体何者なのか??
・・・というのが、作品全体を貫く「謎」である。
話の後半になってから、急激にこの謎の答え探しへと入っていくのだけれども、
中盤までは、70年代のなんだかのんびりとした時代における、
河原町周辺の人々の暮らしを、季節の移ろいに合わせて寧ろ淡々と描写している。
「河原町のジュリー」は住民らの視点として、時折登場するのだけども、
彼自身は最初から最後まで、ほとんどセリフを吐かないため、
読者にとっては、登場人物らが語る想像から、彼の人物像を推測することになる。
どうして河原町から離れることなく、延々とホームレスをやっているのか?
京都にやってくる前は何をしていた人物だったのか?
一応、終盤で答え合わせらしいものはしてくれるんだけど、
それを含めて、読み手の想像に委ねられるエンディングは、ちょっと切ない感じだ。
物語は、70年代の京都を舞台としたフィクションだが、
実際の地名や店舗、出来事がふんだんに登場してくる。
例えば1979年8月7日に、今はもう閉園された「伏見桃山城キャッスルランド」という遊園地で、
サザンオールスターズらが野外音楽フェスを開催した、という記述がある。
登場人物の1人である小学生はサザンの大ファンで、
生の歌声が聴きたいあまりに遊園地に忍び込み、
姿は見えないまでも歌声が聴こえる場所まで辿り着いて、
憧れのサザンの歌を聴くことに成功する。
ついでにその後予定されていたビーチボーイズのライブも聴こうと思っていたら、
急な大雨でフェスが中止となり、結局聴けずに終わる・・・という展開なのだが、
こんなエピソードも実際にあった出来事らしく、
流石は放送作家までやっていた人は、フィクションでも事実確認に手を抜かないなぁ、、、と思っていたら、
読後に読んだ「あとがき」でビックリ。
実は「河原町のジュリー」というのは実在の人物で、
70年代の学生時代を京都河原町で過ごした著者が、
実体験を元に想像を膨らまして書いたのが、この「ジュリーの世界」らしい。
当時は小学生だったからなぁ、これは知らなかった。
最後は1984年に路上生活のまま亡くなられており、
当時その事が、地元の新聞記事にまで取り上げられていたことから、
河原町周辺で暮らしていた方々には、非常によく知られた人物であったことが想像できる。
この「河原町のジュリー」という人物に興味を持って、ネットで検索をかけてみると、
これがまた沢山の方がエッセイやイラスト等の形で取り上げており、
例えばこちらのBlogなんかは、イラスト付きで当時のことを紹介されていて興味深かった。
ネーミングの由来は? 河原町のジュリーと、萩原研二 - Saoの猫日和
本、というものは、どんな作品であっても、何か新しい発見があって楽しいものだ。
できることなら子ども時代の様に、もっともっと沢山の本を読むことのできる時間が欲しいなぁ。
『ジュリーの世界』という小説だ。
著者の増山実氏のことは存じ上げなかったが、
放送作家として著名な方で、この本では第10回「京都本大賞」を受賞している。
話の舞台となるのは1970年代後半の京都だ。
三条京極交番に着任した新人警察官・木戸らの日常を描きながら、
彼らの日常に時折姿を見せる、謎のホームレス「河原町のジュリー」。
本のタイトルにも名前を覗かせる、この人物は、一体何者なのか??
・・・というのが、作品全体を貫く「謎」である。
話の後半になってから、急激にこの謎の答え探しへと入っていくのだけれども、
中盤までは、70年代のなんだかのんびりとした時代における、
河原町周辺の人々の暮らしを、季節の移ろいに合わせて寧ろ淡々と描写している。
「河原町のジュリー」は住民らの視点として、時折登場するのだけども、
彼自身は最初から最後まで、ほとんどセリフを吐かないため、
読者にとっては、登場人物らが語る想像から、彼の人物像を推測することになる。
どうして河原町から離れることなく、延々とホームレスをやっているのか?
京都にやってくる前は何をしていた人物だったのか?
一応、終盤で答え合わせらしいものはしてくれるんだけど、
それを含めて、読み手の想像に委ねられるエンディングは、ちょっと切ない感じだ。
物語は、70年代の京都を舞台としたフィクションだが、
実際の地名や店舗、出来事がふんだんに登場してくる。
例えば1979年8月7日に、今はもう閉園された「伏見桃山城キャッスルランド」という遊園地で、
サザンオールスターズらが野外音楽フェスを開催した、という記述がある。
登場人物の1人である小学生はサザンの大ファンで、
生の歌声が聴きたいあまりに遊園地に忍び込み、
姿は見えないまでも歌声が聴こえる場所まで辿り着いて、
憧れのサザンの歌を聴くことに成功する。
ついでにその後予定されていたビーチボーイズのライブも聴こうと思っていたら、
急な大雨でフェスが中止となり、結局聴けずに終わる・・・という展開なのだが、
こんなエピソードも実際にあった出来事らしく、
流石は放送作家までやっていた人は、フィクションでも事実確認に手を抜かないなぁ、、、と思っていたら、
読後に読んだ「あとがき」でビックリ。
実は「河原町のジュリー」というのは実在の人物で、
70年代の学生時代を京都河原町で過ごした著者が、
実体験を元に想像を膨らまして書いたのが、この「ジュリーの世界」らしい。
当時は小学生だったからなぁ、これは知らなかった。
最後は1984年に路上生活のまま亡くなられており、
当時その事が、地元の新聞記事にまで取り上げられていたことから、
河原町周辺で暮らしていた方々には、非常によく知られた人物であったことが想像できる。
この「河原町のジュリー」という人物に興味を持って、ネットで検索をかけてみると、
これがまた沢山の方がエッセイやイラスト等の形で取り上げており、
例えばこちらのBlogなんかは、イラスト付きで当時のことを紹介されていて興味深かった。
ネーミングの由来は? 河原町のジュリーと、萩原研二 - Saoの猫日和
本、というものは、どんな作品であっても、何か新しい発見があって楽しいものだ。
できることなら子ども時代の様に、もっともっと沢山の本を読むことのできる時間が欲しいなぁ。
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