天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

『元禄忠臣蔵 後篇』(1942年)

2015年09月27日 | 時代劇(テレビ・映画)
昨日(9/26)京都文化博物館3階のフィルムシアターで『元禄忠臣蔵 後篇』(1942年)を観てきました。

大石内蔵助…河原崎長十郎
富森助右衛門…中村翫右衛門
お喜世…山路ふみ子
吉良上野介…三桝万豊
瑶泉院…三浦光子
徳川綱豊…市川右太衛門
新井白石…島田敬一
細川越中守…河津清三郎
堀内伝右衛門…中村鶴蔵
磯貝十郎左衛門…河原崎国太郎
おみの…高峰三枝子

総監督…白井信太郎
監督…溝口健二
原作…真山青果
脚色…原健一郎、依田義賢
撮影…杉山公平
美術監督…水谷浩
音楽監督…深井史郎
建築監督…新藤兼人


2週間前の前篇に続いての鑑賞です。
「御浜御殿綱豊卿」「南部坂雪の別れ」「大石最後の一日」のお話で約2時間。

前篇と同じくセットがすばらしい。そしてやけに奥行きを映し出すカメラ。御浜御殿は広いわ広い、上段の間の襖絵は狩野派みたいな金地の豪華な絵やし、瑶泉院の屋敷の襖絵も鳥の水墨画ですごいし、細川家の屋敷もまた広い。上使が来て沙汰を言い渡す間の虎の襖絵がまた見事。印象的だったのはいちばん最後に切腹する内蔵助が控えていた間の襖絵。円山応挙みたいな雪の積もった松。これだけ見ても十分楽しかった。

さてさて、楽しみにしていた綱豊卿と助右衛門の御浜御殿。想像以上に良かったです。
浪士たちに武士らしくあだ討ちをさせてやりたいが、公家から浅野大学のお家再興をお上に願うよう何度も依頼されて困っている綱豊に、内蔵助が放蕩三昧ならわが手で吉良を討ってやると意気込む助右衛門。「どうして刃傷の時城内にいながら内匠頭を助けてくれなかった。それで武士道とは。」と怒りをあらわ。「どんな気持ちで内蔵助が遊興しているのかわからんのか。」と諭す綱豊卿。
2度ほど歌舞伎でこの段を見ていますが、こんなに良いお話だったとは!
むちゃくちゃ感動しました。これまでの舞台は何やったんでしょう。台詞が入ってなかったです。それだけ右太衛門さんと翫右衛門さんのお芝居がすばらしいってことですね。
右太衛門さんいいわあ。品があって貫禄もあって、ええ人オーラ満載。見直しました(って何回目?)
関係ないですが、吉良が廊下を歩いてるところを討とうとする助右衛門を、お喜世が一所懸命止めるのですが、助右衛門にずるずるずるずると引きずられます。セットの廊下が長いから変にリアリティがありました。こんなに引きずられてるの初めて見ました。

このお話だけでお腹いっぱいになったのですが、山科の内蔵助の元に大学長広の処分が伝わり再興の道が断たれると、さあ討ち入りとなり、南部坂雪の別れとなります。
瑶泉院の三浦光子さん、いいですねえ。これまで見た忠臣蔵の中で私のイメージにピッタリ。内蔵助の討ち入りを信じていたんでしょうけど、討ち入りしませんとの内蔵助の挨拶にプイッと退席してしまう。でもなかなか眠れずまどろんで。やっぱり内蔵助たちは討ち入ってくれた。ああ、よかった。美しくてかわいらしくてよかったなあ。

さあ、討ち入りシーンかと思いきや、瑶泉院邸?に投げ文。内容は吉良邸討ち入りの知らせ。そして、泉岳寺の内匠頭の墓前に吉良の首級をそなえ、吉田忠左衛門と富森助右衛門に仙石伯耆守邸へ仔細を知らせるよう内蔵助は命じる。
これだけでした。ちょっと残念。土屋主税とか見たかったなあ。

おしまいは「大石最後の一日」
細川越中守邸では切腹の沙汰が届いているが「私は言えません。」と堀内伝右衛門。
そのとき、瑶泉院から花が届く。どうやら知らせがいったらしい。浪士たちに花を見せればわかるだろうと細川越中守。
富森助右衛門らの下級?武士らはこれまでのお礼と小唄や舞や笛を次々披露。大石らの上級?武士らはうやうやしく平伏。
そして次の日上使がやってきて、切腹の沙汰を申し渡す。それが候文でかっこよかったです。どういう内容かわかっていたのもありますけど聞き取れました。古文書かじってってよかったな。
ああ、とうとう切腹かと思ったら、またひとつお話が。大石の世話をしたいという小姓。実は磯貝十郎左衛門と夫婦の約束をしたおみのという女性。「磯貝の本心はどうだったのか。自分を愛していたのかそれとも。」「だまされて恨んでおけばいい」との大石の説得もきかず、磯貝と対面。そんな女は知らぬと磯貝。大石はおみのの琴の爪を磯貝は持っていると。納得するおみの。そして自ら命を絶ち、「これでおみのとして真実の姿になれた」と。
さいごの最後まで名場面だらけでした。おみのの高峰三枝子さんもよかった。
もう歌舞伎見られないぞ、これは。参った参った。

討ち入り場面がなくちょっと残念ではありましたが、前篇より数倍時間が早く感じられました。
感動したり、泣きそうになったり大変でした。
もう歌舞伎の元禄忠臣蔵は見なくていいと思います。いや、見てもくだらないかもしれません。
それくらい面白かったです。

元禄忠臣藏(前篇・後篇) [DVD]
真山青果
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