天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

「目玉の松ちゃん 尾上松之助の功績」 京都文化博物館

2016年03月06日 | 時代劇(テレビ・映画)
京都文化博物館3階フィルムシアターの特集上映「胸像建立50周年記念特別上映 目玉の松ちゃん 尾上松之助の功績」のうち、『渋川伴五郎』(大正11年)『忠臣蔵』(明治43年)『忠臣蔵』(一部分/大正15年)『尾上松之助葬儀』(記録映画/大正15年)を見ました。

『渋川伴五郎』(大正11年)
主人公が渋川伴五郎なん?というくらい、さっぱりわからん映画でした。何せ無声映画なのに、セリフの字幕がないのです。弁士、音楽なしの鑑賞なのでもう、何がなんだか。どこかのお寺の門前でならず者の浪人?に痛めつけられそうな旅の夫婦を助けたり、角力場で悪者の相撲取りをやっつけたり、蜘蛛の巣屋敷?で蜘蛛の精?を退治したり、どこかの大名屋敷の悪者をやっつけたり、叔父さん?と一緒に仇討ち?の旅に出て、川(保津川?)でやっつけて終わり。
女優さんが出てこず、すべて女形さんやったようです(たぶん)。二条城とか、どこかのお寺のロケはありますが、屋内は歌舞伎の舞台そのもの。お相撲さんは肉襦袢やし、大きな蜘蛛や蜘蛛の精は歌舞伎そのもので、糸をコントのように画面真っ白なほど吐きまくり。画面は明るいのに人物は暗闇にいるような、だんまりもありました。
時代劇の基本はやっぱり歌舞伎やったんやあと改めて知ることができました。勉強になりました。

『忠臣蔵』(明治43年)
これまた、セリフの字幕なしで参りました。忠臣蔵やから大丈夫かと思ったら、一つの場面の内蔵助や内匠頭のしゃべっているシーンが長いのです。もう気になって気になって。
私の知っているセリフより別のことをしゃべってるはずです。特におそらく畳替えで吉良に斬りつけようとしている内匠頭が何をしゃべってるの?とか、切腹のシーンで片岡源五右衛門が内匠頭に長々と申し上げているのは何?おそらく吉良はお咎めなしやったこと?内匠頭泣いてるし。
内蔵助が山科から江戸へ向かう前に全身入れ墨(しかもこれは襦袢)してる男たちと何を言い争って立ち回りになったん?とか。
演出はさらにほぼ100%歌舞伎というか、「シネマ歌舞伎」というべきか。ちょっとだけロケはあるのですが、ほとんどセット?というか、歌舞伎の舞台そのもの。背景は布に絵が描いてありました。立花左近のシーンの見得はすごかったなあ。目玉の松ちゃんの所以はこれか、という感じでした。最近の歌舞伎より歌舞伎やったなあ。100年以上前の歌舞伎かあ。いい体験しました。

『忠臣蔵』(一部分/大正15年)
年数がたってさすがにずいぶん見やすくなっていました。セリフの字幕があるのとないのでこんなにも違うものかと思いました。演出も現代に近づいていて、セットがちゃんとした建物になってますし、上や後ろからの引きの場面もあって場面に奥行きがありましたし、女優さんが女性を演じてましたし。
内蔵助の山科暮らしの場面と、蕎麦屋の二階で集合して、さあ出立!というところで終わってしまったのが残念です。

『尾上松之助葬儀』
自宅出棺から千本座を通って大将軍撮影所での葬儀、埋葬まで。
通りを埋め尽くす人、ひと、ヒト。行列がくると市電が止まってました。大名行列のような奴さんの毛槍投げわたし?とか、雅楽の演奏とか、まるでお祭りのよう。とにかく大大大スターやったんやなあというのがよくわかりました。
それから、大正15年当時の風俗がよくわかって楽しかったです。男性はカンカン帽ですし、女性はほとんど着物に日本髪でした。警備の警官さんが白い制服で。ドラマではなく本物ですもんね。

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