村上明夫の政治,文化情報

村上明夫の政治と文化の情報と解説をお送りします

中途半端だった安倍首相(参院選総括2)

2007-07-31 15:35:22 | Weblog
 自民敗北の理由は多くあると思うが、最大のものは、安倍首相の中途半端にあったと思う。安倍首相は「小泉改革」の後継者なのか、「小泉改革」の「ひずみ」の是正者なのか。判らなかった。判ったのは、「戦後レジーム」を壊し、戦前回帰型のナショナルなものの復活だけである。「小泉改革」は明確に、(規制緩和、民営化、社会保障や労働者保護の見直し、地域格差の是正策の見直し、競争原理の導入等、小さな政府と市場原理等々)の「新自由主義」であり、政治的には、「新保守主義」と言える。これに対し、自民党の大勢は、「政府などの介入による、地域格差の是正、社会保障や労働者保護等ある意味では日本的社会主義でさえある)だから「自民党をぶっ壊せ」となる。当然、前者は都市部指向で後者は、地方指向である。安倍首相は、本来後者の伝統的自民党指向でありながら、小泉氏の後継者になることによって、中途半端いなったしまい、小泉改革のヒズミを全部しょってしまった。「1人区」の敗北は当然と言える。自民党は、自らの支配を維持して来た「戦後レジーム」を小泉によって、破壊しつつあるのだ。

参院選の結果、見逃せない「再編」劇。

2007-07-30 10:34:10 | Weblog
 7月29日、参院選の投票と開票が行われた。議席を減らしたのが、自民、公明、社民、共産で、民主の一人勝ちだあった。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」と言っていたが、「戦後レジーム」はもともと自民党が作ったもの。小泉時代に、かなり解体された。それが、自民党の基盤を堀り崩した。「戦後レジーム」の脱却の先は一体どこえ行くのか?「戦前型なのか」。小沢民主は、小泉改革の「陰」の部分を突いた。勝ったため、参院民主は、採決のたびに、衆院に決定に対し賛成・反対の説明責任を果たさねばならない。。こう考えると、自民の中にも、小泉のような新自由主義ー市場経済主義と、日本型社会民主主義的なりものが混在し、民主党の中にも、改革ー新自由主義ー市場経済純化派と、社会民主主義的なるものが混在しているという事になる。まだ、自民、民主とも、内部に大きな亀裂をかかえたままなのである。公明、共産、社民は、この二大政党制の強まりなお中で、どこに活路を見いだしてゆくのだろう。この参院選で、見逃せない「再編」劇へ第1歩が始まったと言える。

「市場経済」と「情報公開」&「分権」こそが。

2007-07-24 22:52:18 | Weblog
 前のブログで「脱原発」と書いた。「良い社会」「暮らし易い社会」とはどんな社会なのだろうか?昔は「社会主義」と思ったが、現実の社会主義を考えると、とてもそうとは言えない。愚かな、弱い人間を考えると、「神の見えざる手」=市場経済の方が良いのかも知れない。しかし、権力の分散=「分権」と「情報公開」が必要と思う。「市場経済」・「地方分権」・「情報公開」がキーワードかもしれない。(その事については、私のメールマガジン「インキュベータ」No12に書いた)そんな事を考えていると、もうすぐ参院選の投票日だ。党がまとまって、「市場経済」「地方分権」「情報公開」の党は、あるのだろうか?


今こそ「脱原発」を

2007-07-21 22:37:47 | Weblog
 今、続けているテーマをちよっとはずれるが、今度の、新潟柏崎の地震のニュースにふれるたびに、柏崎原発での事故の事が、気になる。やはり、原発は怖い。地震、他国からの攻撃・・・・。何か事故のあった時、原発は被害を倍以上にする。取り返しつかいないものにする。今こそ「脱ダム」ならぬ「脱原発」が必要だと思う。同時に、情報が公開される事の大事さを感じる。非情報社会である「社会主義国」の恐ろしさを感じる。権力の集中は、必ず情報の独占、非情報社会をもたらす。
 日本では、どちらかと言うと「脱原発」を主張する政治勢力が、「社会主義」に親和的なのは困った事だ。「脱原発」で、権力の集中を常とする「社会主義」に反対する勢力が必要と思う。

「緑の党」「社会民主主義」の無い中で

2007-07-17 14:54:30 | Weblog
これまで、日本に「社会民主主義」の伝統が無い事、私たちが「緑の党」を作れなかった事について書いて来た。という事は、個々の運動の課題を「政党」という形で、結集し、表現しきれなかった事を意味する。政党という形をとり、政治的に表現しきれなければどうするのか?NPOなり、個々の運動団体なりで、まとまり、政治的表現は、自民党なり民主党なりに求めるという形になる。特に、日本の保守勢力は、それだけの幅の広さを持ち、地方首長を中心にウイングを、幅広く広げて来たが、これからはどうなるのだろうか?小泉改革以来の自民党、保守勢力は、岐路に立っていると言わねばならない。それは、個々の運動を続け来た私たちが問われている事でもある。
 

社会民主主義とは何?

2007-07-13 21:34:13 | Weblog
 まえのブログで日本に「社会民主主義」の伝統が無い。それが「緑の党」の出来ない一つの理由と述べた。「社会民主主義」とは、選挙、議会制民主主義を通じて、社会の変革をめざし、市場経済の問題を、政府の介入によって克服しようとする、経済政策を重視する。日本ではかっての「社会党」が、社会民主主義政党で、現に「社会民主党」という名前の政党があるが、これらは、どちらかと言えば、マルクス、レーニン主義、共産主義であり、本格的社会民主主義政党とは言えなかった。1960年代後半の「新左翼」も、レーニン主義であり、議会制民主主義を重視するグループは無かった。「緑の党」の基盤、すなわち、選挙、議会制民主主義を重視する勢力はあまりに少なかったのだ。「社会民主主義」と「市民社会」の問題は次にゆずろう。

「社会民主主義」の伝統が無いって?

2007-07-10 22:17:10 | Weblog
 前回、日本にはドイツと違って「社会民主主義」の伝統が無い。社会党も共産党も、レーニン主義、共産党系だと述べた。
という事は何を意味するのだろうか。一言で言って「社会民主主義」とは、市場経済の格差に対し、政治による格差是正、弱者救済の計画経済、社会保障の充実等を政治の力で実現する。こうした政治体制を、「暴力革命」でなく、「議会制民主主義」を通じて、「選挙」を通じて実現するというものだ。色々な理由で、日本では、大きな勢力にならなかった。それが「緑の党」とどう関係するの?次回に。

緑の党は何故出来なかったか?

2007-07-04 10:27:00 | Weblog
 「緑の党」は何故出来なかったか?このテーマも随分、長くなった。自分にとっては大問題なので、もう少し、考えてみたい。
これまで、主に、日本とドイツの違い、主に、日本とドイツの「新左翼」(既成に左翼に対して)の違いに焦点を当て、「議会制民主主義」の受け止め方の差を考えて来た。
 ドチュケの言葉に見られるよう、議会制民主主義に正面から立ち向かったかに見えるドイツと、原理的には最後まで、拒否した日本との比較を考えて来た。この先にあるのは、「社会民主主義」と「市民社会」の問題だろう。ドイツには、「レーニン主義」に対抗する「社会民主主義」の伝統はあった。しかし、日本では、共産党も、社会党も、ともにレーニン主義だった。正当派左翼を、共産党(講座派)と社会党(労農派)で争ったのである。