東京映画日記

映画の鑑賞記録、映画情報へのコメント、個人の日記なんか書いてきます。毎日更新できるといいなぁ。

ゾディアック

2007-06-17 11:37:18 | 映画情報
オレの一番好きな監督、デビッド・フィンチャー監督の最新作がついに封切りされました。その名は「ゾディアック」。

オレの一番好きな映画は「ファイト・クラブ」「セブン」と両方ともデビッド・フィンチャー監督の作品。この好きな映画に並ぶぐらいの作品かとすごい期待して劇場へ行きました。

ストーリーはというと、主人公は新聞社のイラスト係のロバート。新聞で風刺のイラストを書く係だ。ある日、そのロバートの勤める新聞社に一通の手紙が届く。その手紙は編集長宛て。「オレの名はゾディアック。オレは人を殺すことが好きだ。」と自分の犯した殺人の内容と自分のことを書いたという暗号文が入っていた。その暗号文を見たロバートは次第に殺人犯ゾディアックに興味を持っていく。そのゾディアックに興味を持ったのはロバートだけではなく、敏腕記者ポールも同様に。そして次々と殺人を犯すゾディアックの事件の担当となった刑事のトースキー。ゾディアック事件に関わったことでそれぞれの人生が壊れていく・・。ゾディアックは何者なのか?そして事件に興味を持ってしまった3人の運命は・・?

この映画は今までのフィンチャー作品とは違い、現実に起こったゾディアック事件を元に制作されました。そのため、流れはドキュメンタリー的なつくりになっています。特に中盤までは主人公はロバートだけでなく、巻き込まれた人々全員に焦点を当てている。殺人のシーンなどはフィンチャーらしい映像テクニックがあり、さすがというところが多い。さすがに事実に基づくため、客観的な視点で描く必要があったのでないかと思います。淡々と事実が述べられるために正直つまらないかもなって思ってました。
しかし、後半になると一気に展開が早くなり、観客がどんどん引き込まれて次はどうなる?とずっと思わせる作品へ様変わりします。そして中盤までの事実がこの後半のためにいくつも伏線が張られていたことに気づきます。最後のシーンは胸の辺りのドン!と何か打ち込まれたような感じがします。

この作品にはそこまでのスター俳優は出てきません。
主人公ロバートは「ブロークバック・マウンテン」のマーク・ギレンホール、記者ポールには「チャーリー」のロバート・ダウニーJr.、刑事トースキーには「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」「エターナル・サンシャイン」のマーク・ラファロ。周りもどっかの映画でみたことあるぞって感じの味のあるおじさん俳優たちが固めています。フィンチャーがスター俳優を使わなくていろんなスタジオにこの映画を断れたのは有名な話です。たしかに現実に起きた事件にスター俳優を起用してしまうとこの事件はそのスター俳優の映画のためというイメージが出てしまう。この判断は正しかったと思います。

この映画は決して万人に向けたエンターテイメント映画ではありませんが、味があり、深い人間描写があり、フィンチャーの新境地とらしさがでた映画だと思います。

★★★★


リトル・ミス・サンシャイン

2007-06-02 15:25:17 | 映画情報
新作DVDですが、実は劇場ですでに観てて、ブログにあげてなかったのでDVDで
もう一度観てUPします。

登場人物は
小太りなのにミスコン優勝を目指す娘、
パイロットを目指すために言葉を封印した息子、
自分の自己啓発プログラムを人に押し付けようとする父親、
禁煙したくてもやめられない母親、
ヤク中で女好きな祖父、
男にフラレて自殺を図ったゲイの叔父の七人が
小さなバンに乗って娘が出場するミスコン目指してひた走るロードムービーです。

これだけ個性の強いキャラクターが揃って、家族という設定に
まず無理があるような気がするがそれは考えないようにしよう。
家族全員でロードムービーというのはかなり珍しい。
すごく新鮮な印象を受けた。最初はほんとにバラバラだった家族が
それぞれのいろんな問題に直面して少しずつ家族の絆が
深まっていくのを笑いや悲しみも踏まえつつ、
家族の良さも悪さも映し出している。

この映画の一番良いところは最後が全員にとって全てが
オッケーみたいなハッピーエンドでないところ。

オレはロードムービーの大半はその旅自体が人生の面白さを表してるものが
多いと思ってる。この作品はその人生をうまく語ってくれていると思う。

人生は努力してもそう簡単には自分の思い通りにはなってはくれないし、
いきなり悲しいことも訪れる、でも楽しいことはきっとあるみたいな感じに。

そして、家族っていうのはいいもんだなって最後にしみじみ感じさせてくれる。
いろんな意味で秀作かと思う。悩みがある人が観るといろんな意味で救われるあったかい映画です。