東京映画日記

映画の鑑賞記録、映画情報へのコメント、個人の日記なんか書いてきます。毎日更新できるといいなぁ。

鉄コン筋クリート

2007-01-29 19:28:23 | 映画
公開開始当時は全然気にもとめてなかったが、正月にアジカンの新曲に乗せたTVスポットを見まくったせいか観たくなってしまった。


ストーリーはというと…、日本に宝町という小さな町があった。
この宝町にはネコと呼ばれる危険なガキが存在すると言われていた。
ネコの正体は、クロとシロと呼ばれる二人の少年。
クロは何よりも暴力を好み、血を求め毎日ケンカの日々、
シロは逆に純粋で二人で一緒に平和に暮らすことを夢見ていた。
クロはシロを守ること、シロはクロのそばにいることで互いを支え合い生きていた。
そんな中、ネズミというヤクザが宝町に戻ってきてから二人の生活が一変する。
ネズミの手下である木村というヤクザの事務所をクロが襲撃する。
その後、ヤクザは他のヤクザと手を組み、宝町に子供向けテーマパークを建設を目論み、邪魔な存在であるクロとシロを消すために殺し屋を送り込むのだった。
クロとシロは無事でいられるのだろうか…?


この作品は『ピンポン』でおなじみの松本大洋原作の漫画の映画化である。『ピンポン』は実写で今回の『鉄コン筋クリート』は
アニメという違いはあるが松本大洋という作者の世界観はさほど変わらない。
映画を観た後に原作を読んだが改めて松本大洋の表現力の素晴らしさが分かったような気がする。
シロの意味不明な言動は松本大洋自身が感じたことであり、そのシロを理解するじっちゃや、
ネズミが話すことばが松本大洋自身の訴えたいことなんだとオレは思う。


この作品の一番の見せ場は光と闇の間ので揺れるクロの決断のシーン。
原作では、意外と淡々と描かれているが、映画では迫力ある映像で観客を圧倒する。
このクロの心の揺れは誰しもがもつ闇と光の部分である。
主人公の二人がシロとクロは互いに必要不可欠で、人間の心はこのクロとシロのオセロみたいなものオレはこの作品をこう感じた。


シロのセリフでこんなセリフがある。

「コンクリートにも匂いがあるんよ。知ってた?夏と冬、朝と夜で全然違うの。
シロは雨降った後が一番好きだな。マーガリンみたいな匂いなの。」

コンクリートなんて無機質で路傍の石以上に気にもしないと思っていたが、このシーンを劇場で観たときすごく新鮮な感じがした。それであったかいものを感じた。

ただ一つの街でそこに住む、少年二人の物語が世界と人間の現実のような大きなものを表現しているかのよう。


「ソコカラ、ナニガ、ミエル?」とチラシには書いてある。


映画の最後にはこんなメッセージが。

「ココカラ、ミンナガミエルヨ」

これが松本大洋ワールド。
おそらく好き嫌いは分かれると思うが、オレは好きだ。