出身が宮城県仙台市ということもあり、地元紙・河北新報はこのところ連日のように「イスラム国」(ISISまたはISIL、以下ISIS)に斬首されたフリージャーナリスト後藤健二氏を取り上げている。先にISISの人質になり斬首された湯川遥菜氏のベタ記事扱いとは対照的に、後藤氏については手放しの過大評価記事の連発なのだ。後藤氏と顔を合わせたことがあるという池上彰氏のインタビューには、「後藤氏は弱者の味方」という言葉まであり、後藤氏が常に「弱者の味方」であったかの如く持ち上げている。
我が家で取っているのは河北だけなので、他の地方紙や全国紙での取り上げ方は知らないが、おそらく他紙も似た様な扱いだろう。一介のジャーナリスト風情に「弱者の味方」などの表現をするだけでうんざりさせられるし、私はこれを弱者の味方症候群と言いたい。非業の死を遂げた人物を神格化したいという日本人の心象もあろうが、身内のことは悪く言わないという同業者のよしみが大のはず。
それ以外に後藤氏が特筆される理由は、クリスチャンということがあるのではないか…と私は見ている。マスコミに登場する売文業者にはクリスチャンが少なくないし、人口比1%代と見られる信者数にしては異例ではないだろうか?
河北新報にも後藤氏がクリスチャンで、1997年に洗礼を受けたことが載っていた。尤も洗礼を受けた所が日本基督教団だったことは書かれていない。この件で拙ブログのコメンターの1人でもある巨大虎猫さんが、「イスラム国と日本キリスト教団」というタイトルで興味深いコメントをしている。
「日本キリスト教団は、自分たちの仲間がイスラム国の人質になっているというのに、一体何をしているのでしょうか?所属の教会のホームページを見ても、今回の件に関して全く何も書いてません。どうせ「神様に祈っている。」とか言って、何もしていないのでしょうね」
このコメントは2015/01/24付だが、確かにこの時点で日本基督教団公式サイトには後藤氏への言及はない。やっと「お知らせ」に出るのは2015/01/26付なのだ。「また、各教会・伝道所におかれましても、共に祈りを合わせてくださるようお願いいたします」と結んでおり、巨大虎猫さんの予想は当たっていた。巨大虎猫さんは拙ブログにも興味深いコメントを寄せており、以下はその全文。
後藤健二さんは自らの妄想に殺された? (巨大虎猫)
2015-02-05 20:36:57
生前の後藤健二さんは「神様が私を助けてくださる。」というようなことをよく言っていたようです。恐らくは、彼は自らの仕事を神に託された使命だと考え、だから当然危険な目に遭っても絶対に死なないと思っていたのでしょう。今回の件にしても、「自分は神に遣わされた使者だから、交渉はうまく行って当然」と考えていたものと思われます。
ところが、そうではなかった。首を切られる瞬間、彼は自分の考えが妄想に過ぎなかったと気付いたでしょうか?
死の際に後藤氏が何を思ったのか、赤の他人には想像もつかないが、それも神の定めた運命として超然と受け入れたのだろうか。宗派問わずキリスト教会の教えでは異教徒に惨殺されれば殉教となり、天国で永遠の生命を得られるはず。そして常にイエスの側にいられるのだから、有難く死を受け入れたなら善き信者だろう。そうあってほしいし、クリスチャンならそうあるべきなのだ。
後藤氏殺害事件について、「神はキリスト教よりイスラームがお好き」というタイトルの書込みがあり、クリスチャンの姿勢への皮肉は痛快だった。
「後藤健二さん、残念ながら殺されてしまったようですね。偶像崇拝者は何を望んでも神に聞き入れられない、と言っていたけれど、神はキリスト教徒の祈りも無視するようですね。それとも、キリスト教徒の祈りが遊び半分だったから神が満足しなかったから?
しかし、「助けてくれ」とはどういう意味なのでしょうか。異教徒に殺されるのであれば立派な「殉教」。神が彼の魂を天国に迎え入れるであろうことは明らかなのに、「殺されないように」と願うのは一体どういう理由なのでしょうか、理解できないですね。
茶髪の八十前のおっかさんは、神様、息子の魂を受け入れてくださってありがとう、と神に感謝するべきなのではないでしょうか。クリスチャンちゃん達は、異教徒が災害で死ねば「神の罰だ」というくせに、自分たちの身内が殺されたら、殺したものを許そうとはせず、復讐しようとするわけでしょう?そんなことはおかしいとおもうべきでしょう…」
その二に続く
◆関連記事:「キリスト教会、その信者の歴史観」
「自衛隊は下等な職業」
このような気の狂った妄想が「真理」として説かれるのが、キリスト教です。
今回のコメントも、ノンクリにはとても信じられないお話です。これが一般ノンクリの集会で、「私の将来の夢は、世界平和に貢献できる職業に就くことです。」と自己紹介したら、拍手喝采となるでしょう。国連や外務省の職員になって世界平和のために尽力すると宣言すれば、今時の若者にしては実に頼もしい…と感心されるはず。もうISISより理解できませんね。
尤もお話に見るクリスチャンとISISの発想は基本的に同じでしょう。「世界中が皆クリスチャンになれば、世界が平和になる」は、「世界中が皆ムスリムになれば、世界は平和になる」に重なる。どちらも凄惨な宗派間の宗教戦争を引き起こしていますが、気の狂った妄想を「真理」として説くのも同じ。
ところで日本基督教団公式サイトでは、未だに後藤氏の死を載せていません。祈っても斬首されたので、触れたくないのでしょう。キリスト教徒の祈りなど、何の役にも立たなかったし(笑)。
すでに多くのブロガーが取り上げているネタですが、巨大虎猫さんからの情報は一般に知られていませんよね。「神様が私を助けてくださる」と、真顔で言うジャーナリストがいること自体、唖然とさせられました。「神様が私を助けてくださる 後藤健二」で検索したら、ちゃんと「Christian Today, Japan」のサイトにありました。これが“国際ジャーナリスト”だそうです(爆)。
http://www.christiantoday.co.jp/articles/13401/20140530/goto-kenji.htm
後藤氏は宣教師にでもなればよかった。文句があるなら日本政府ではなく神に言うべきです。
ヤマザキや森永の創業者はクリスチャンだったのですか??試に「森永の創業者はクリスチャン」で検索したら、「宗教を信じているとお金持ちになれる?」というサイトがヒットしました。
http://kanemochi.kyokasho.biz/archives/645
他にもヤマト運輸のオーナーであった小倉昌男氏、ソニー創業者の井深大氏、ライオン創業者の小林富次郎氏がいるそうですね。実は貴方のコメントで初めてヤマザキや森永の創業者がクリスチャンであったことを知りました。確かに人口比としては突出しています。
もしかすると、クリスチャン特有の十一献金のシステムが大なのでしょうか?この献金を資本に事業を始めやすいのやら。尤も他宗教も事情は同じですが、下っ端信者は貧しく格差はありすぎます。キリスト教を信じて、貧乏になった人の方が多数では?「儲」の字は信者から来ています。
ところで日本基督教団公式サイトは、未だに後藤氏の死を載せていない。ノンクリからみれば不可解です。