去る８月２８日、漫画家の広井てつお先生が急逝されました。それから約２ヵ月後に奇しくも追悼版の体になってしまった「Ｗ１ララバイ」が愛蔵版として復刻されました。８０年代にＭｒ．Ｂｉｋｅ誌を中心に連載された作品で、「キリン」作者の東本昌平先生や「ミスターＭｒ．Ｂｉｋｅ」、佐藤信哉氏も作中に登場（８０年代だから若い！）するこの年代をリアルに知る人間にはド真ん中な作品を納めた１冊になってます。
今回の復刻は元々モーターマガジン社が企画・発売する予定でしたが広井先生が病に倒れた際、先生と縁の深いＭｒ．Ｂｉｋｅ編集部に企画を譲渡し、その後同じく縁のある少年画報社で発売された経緯があります。しかも当時の原画の半数が消失しており、やむを得ず概販の雑誌・単行本の誌面をスキャニングしてＣＧで修正施したそうです。
壮絶なのはＣＧ修正された原稿のチェックを先生自身が病院のベットの上で全てチェックしていて、全て終了した一週間後に亡くなったそうでその姿に病院関係者や家族は並でないプロの執念を見たとコメントしています。
伝説を残す訳じゃないごく普通の老若男女のバイク乗りのストーリーが多く、バイクと同様に故郷・岡山県西大寺を愛した広井先生の作品（ここ数年は西大寺での日常生活を描いた作品が多かった）がもう読めないのは大変残念です。
改めてご冥福を祈ります。合掌。