面白く、そして下らない

私は批判をして何かを為した気になっている大衆の一人に過ぎないが、何か少しでも波紋を起こす小石になれればと書いている。

緊縮財政では大学予算は増やせない

2024-04-15 18:24:22 | 政治
小泉純一郎の構造改革で国立大は独立行政法人になった。それは良いのだが、同時に運営費が毎年1%ずつ減らされることになり。大学は予算が減り研究者の人件費を減らすことで帳尻を合わせたのだが、その結果引用される論文の数は世界4位から13位にまで下落した。

大学の予算を減らして選択と集中。あるいは競争を激しくして成果を上げようというのが土台無理なのだ。研究者に安定した雇用と待遇を与え長い目で見なくてはならない。それを財務省はさらなる選択と集中で乗り切ろうとしているのだから大学の研究力は落ちる一方だ。

~~引用ここから~~
社説:国立大学法人化20年 反省踏まえ研究力強化を | 毎日新聞

社説:国立大学法人化20年 反省踏まえ研究力強化を | 毎日新聞

 日本における知の拠点の衰退ぶりは目を覆うばかりである。国立大が法人化されて4月で20年となったが、反省すべき点は多い。  公務員数などを減らす行財政改革の一環とし...

毎日新聞

 


 日本における知の拠点の衰退ぶりは目を覆うばかりである。国立大が法人化されて4月で20年となったが、反省すべき点は多い。

 公務員数などを減らす行財政改革の一環として実施されたものだ。学長を中心にした柔軟な組織運営や企業との連携強化が容易になった。財界人らの入った協議会が設置され、外部の目で経営努力もチェックされている。

 それまで国立大は文部科学省の内部組織だった。学科の名称変更さえ省令改正が必要で、業績を上げた教員の給与アップも難しかった。法人化は1886年の帝国大誕生以来の歴史的転換とされ、国の保護下で硬直的だった体質の改善も期待された。

 だが、思うような成果は出ていない。

 影響力の大きい論文のシェアで日本は20年前の世界4位から13位に沈んだ。大学ランキングは中国や欧米が上位を占める。研究の質、国際性、産業界への貢献などを総合評価する英教育誌2024年版で、上位100校に入ったのは東京大と京都大のみだ。

 低迷の原因に挙げられるのが、人件費や光熱費などにあてる運営費交付金の減額だ。法人化後、毎年のように約1%ずつ減り教職員の採用が困難になった。

 自由に使える研究費は乏しくなった。政府が代わりに打ち出したのは、高額な研究費を少人数に集中して投じる「選択と集中」である。ただ、その多くは数年間限定のため、短期で成果を得やすいテーマに走りがちだ。

 研究者は、資金獲得の書類作成などに忙殺され、雇用も不安定な有期契約が増えた。

 この20年間に、修士課程から博士課程への進学者はほぼ半減し、人材難が深刻化した。専門性の高い人材の受け入れを敬遠しがちな企業の姿勢も一因だ。

 資源の乏しい日本にとってイノベーションこそ生命線である。大学はその基盤であり、米国籍を含め28人いる日本のノーベル賞受賞者を輩出してきたのが国立大だ。

 政府は法人化の功罪を検証しなければならない。大学が変革を続けることも重要だ。多様で裾野の広い教育研究の環境を整えるため、経済界を含め社会全体で大学を支える取り組みが求められる。

令和6年4月7日毎日新聞社説
~~引用ここまで~~


~~引用ここから~~
(社説)国立大学政策 失敗を直視し見直す時:朝日新聞デジタル

(社説)国立大学政策 失敗を直視し見直す時:朝日新聞デジタル

 国立大が04年に法人化されてから20年がたった。 教育や研究を活性化させる目的と行財政改革の流れが一体化して実行されたが、その後の政策で教育・研究環境が悪化し...

朝日新聞デジタル

 


 国立大が04年に法人化されてから20年がたった。

 教育や研究を活性化させる目的と行財政改革の流れが一体化して実行されたが、その後の政策で教育・研究環境が悪化した大学が多い。当初描かれた理想像とはほど遠く、日本の研究力は低下し、現場は閉塞(へいそく)感に満ちている。国はこの間の失敗を検証し、見直す機会にしてもらいたい。

 朝日新聞は国立大の全学長86人にアンケートを行い、20年前と比べた現状の評価を尋ねた。回答した79人の7割弱が、悪い方向に進んだとした。経営や人事の自由化など法人化そのものを批判する学長は少なく、地域連携・地域貢献や学生支援も進んだ。

 だが、人件費や光熱費にあてる運営費交付金を減らし、研究費の多くを競争して得る仕組みとした政策の悪影響を、学長の大半が指摘した。

 交付金を減らされた国立大は、人件費を抑えて対処してきた。無期雇用の教員を減らし続け、今や若手を中心に全体の3割以上が任期付きだ。

 競争的資金の対象は、短期的な事業が多い。安易に成果を手に入れやすい研究に流れたり、申請書類作りに研究時間を奪われたりする教員が続出した。

 その結果、注目度の高い論文数が04年の4位からG7諸国で最下位の13位に落ちるなど、研究力は低下した。過度に目先の競争を促し、本来の学問に注ぐエネルギーをそぎかねない政策の失敗を、国は直視すべきだ。

 環境悪化が現場に与える影響も心配だ。アンケートでは学長の4割が、教職員の意欲が「低下している」と回答。同時に調査した教職員は、さらに深刻に受け止めていた。

 政府や産業界は、国立大に経済再生につながるイノベーションの創出を期待してきた。そのために進めた「選択と集中」政策の悪影響が各方面から指摘されているのに、国には見直す姿勢が見られない。それどころか、数大学にそれぞれ年数百億円を集中的に配る国際卓越研究大学制度も始めた。

 競争を促しさえすれば成果が上がると短絡的に考えるのは誤りだ。飛躍的な研究成果には自由な発想や多様性、裾野の広さが欠かせない。長い目で見て支援すべきなのは、有力大や応用研究以上に、若手研究者が成長する場でもある地方大や基礎研究だ。

 交付金削減による財政難に少子化も重なり、閉学の危機感を持つ国立大さえある。各地の貴重な教育・研究拠点が取り返しのつかない状況に陥る前に、政府は政策の見直しに着手する必要がある。

令和6年4月10日朝日新聞社説
~~引用ここまで~~


毎回批判している新聞の社説だが、この毎日新聞と朝日新聞の大学の予算削減による研究力の低下を憂える社説は正しい。結局研究に必要なものは金なのである。予算を削減して選択と集中や競争の激化により研究力を維持することはできないのだ。

だが毎日新聞も朝日新聞も予算の削減が研究力の低下に繋がったとまでは書いているが、緊縮財政や財務省の批判は書いていない。それが財務省の犬の限界か。大学の研究力低下について書かない御用新聞三紙よりはマシであるが。

文教予算はこの20年増えていない。自民党の文教族議員が気にするのは初等・中等教育ばかりで大学と大学院の高等教育は気にしないのだ。その結果財務省の緊縮財政で文教予算が抑制され、日本の研究力は目を覆うばかりとなった。

財務省はこれを気にしているのだろうか。問題とも思っていないのではないか。緊縮財政を止めない限り文教予算を増やすことはできないが、緊縮財政を止めるつもりが欠片もないのだから。

そして毎日新聞も朝日新聞も大学の研究力が凋落したことは予算不足にあると遠回しに書いているが、財務省に緊縮財政を止めるよう要求することはないのである。それでは大学の凋落は変わらない。

「科学技術立国」が財務省の緊縮財政で崩壊しようとしているわけだ。もう半分は崩壊しているかもしれない。緊縮財政。緊縮財政。財務省の緊縮財政が諸悪の根元なのだが、新聞は財務省の犬だから歳出をもっと抑制しろと書き立てる。狂気の沙汰だ。

財政破綻などあり得ないのだからもっと予算を増やして大学の研究を支えねばならないのだが、それができないのだ。

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大学の教授も政府の審議会の委員などに重用され、財務省の犬ばかりだが、大学は財務省に反逆するしかない。今の予算では先がないからだ。有能な研究者も予算不足という本来あり得ない理由で首を切られてしまう。

同じ大学の財務省の犬に予算不足の批判をねじ込むしかない。国立大学の学長も連名で文教予算を増やすよう政治に要求しなければならない。

今回取り上げた社説は珍しくマシな社説だが、新聞は財務省の犬だから不買・解約が正しい。テレビも肝心なことは報道しない自由だから見る価値はない。

選挙では財務省の犬の緊縮財政派議員を落選させるしかない。彼らは選挙に強いから難しいが、それでも財務省の犬を減らさないことには緊縮財政が終わらないのだ。

最後にランキングボタンを押してくれるようお願いする。ランキングが上がればより多くの人に読まれるし、私の気持ちも上向くからだ。

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3 コメント

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Unknown (さくらもち)
2024-04-16 16:23:50
日本を守るため、こちらに反対署名をお願いします!
https://wch-japan.kifusuru.net/petition/?dkspeakoutconfirm=bb3548fbe53cebcf&b=0&lang=ja
Unknown (Unknown)
2024-04-17 10:35:55
さくらもちさん

こちらで詳しく報じていますね
https://www.worldtimes.co.jp/japan/20240415-180583/
Unknown (Unknown)
2024-04-18 01:00:43
世界日報(
ここまで大きく取り上げるのには、某団体にとって何かあるのでしょうかね。

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