わたしたちの住処をつくる記録

いえづくりについて、できごとと考えたことを記録しておきます

引き渡し

2015-09-07 21:59:01 | 完成後
長く長く待った「引き渡し」を終えました。
当初の予定よりだいぶ遅くなりましたが、無事建物が建ち、私たちが使ってもいいということになりました。

外観はとてもかっこよく、室内も大変落ち着きがあり、普通の家とは異質の空間ができています。
ただ、大事なのは「オシャレ」ではありません。
これが「木組み」であること。人の手によって時間をかけて刻まれた、地元の木々であること。
どこまでも計算されつくした、無駄のない架構であること。
昔から民家につかわれた漆喰を使い、木の良さを殺さず活き活きさせる工夫が随所に刻み込まれていること。
あたりまえのことをきちっとおこない、暮らしにとって、安全で安心な優しい住まいであること。
 
未来の社会のあるべき姿をみすえ、省エネを真面目に考え、「伝統」を前に進ませていること。
大事なことがきちっと盛り込まれています。


けれど、実感がまるでありません。
実のところ、まだまだここからが大変なのです。
引っ越しの準備もあるのですが、カーテンどうするの? とか、外構どうするの?とか、
手摺の安全対策はどうするの? 薪棚は? などなど、課題山積です。
そのなかで住宅ローンもついに始まります!

話はそれますが…
住宅ローンといえば、
不動産登記などの知識もまったくなかったため、ここのところちょっとあたふたしました。
登記が済んでいないとローンが下りないんですね。
さらに、登記を行うためには、まず住居表示がとれていなければならず、
さらに、その住居に「転入」していなければなりません。
ということは、引渡し前に住民票を移す、というわけのわからないことをやらなければなりません。
時間的にも急ぎで、知識もありませんでしたので、司法書士の先生にすべてお願いしましたが、
けっこう頭の中がこんらんしました。これで晴れてローン生活。

そしてなんと、仕事の都合で半単身赴任を強いられます。その準備も進めなければなりません。
竣工が嬉しい反面複雑なものです。

ただ、家というのは「新築」というのは「完成」ではないのだ、ということがよくわかります。
ここからわたしたちの「住処(すみか」にしてゆかなければならないのです。
時間をかけて、だんだん「住処」になってゆくのだと思います。
幸い、「き」組の家は、至れり尽くせりでこれ以上成長しない家ではありません。
どこまでもシンプルな間取りや、ときにそっけないくらいの飾り気のなさは、
ここから住む人が育ててゆく家だということを予感させます。

さてさて、どうなることやら。
明日は施主による床塗りをレポートします。


○基本データと関わって下さったおもな方々(これからもどうかよろしくお願いします)
1F 47.72㎡ 2F 48.28㎡ 延床面積 96.00㎡(29.04坪)*登記上はもう少し狭い
構造材 長野県産杉・桧(主に横架材・土台)、吉野杉(主に柱) 手刻み
外壁 土壁風藁入モルタル(1F) 長野県産唐松無垢板張り(2F)
内壁 漆喰塗り
開口部 木製造作、木製気密玄関戸、アルミ樹脂複合サッシ
断熱材 ウッドファイバー、セルロースファイバー

設計・監理 松井郁夫建築設計事務所 松井郁夫 松井匠
構造計算 悟工房 山中信悟
施工 田中製材工業/俊建築設計室 田中俊章
 木工事 森澤建業 棟梁:斉藤一也
 基礎工事 吉池建設
 断熱工事 富士建商
 屋根板金 (株)イヌズカ
 左官工事 芳賀左官 井出左官
 木製建具 ウッドテック秋富
 鋼製建具 ケンショウ
 塗装工事 渡辺塗装
 電機工事 市川電気
 設備工事 (株)ミナミ
 薪ストーブ ヤマショー