この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#28ロベール・ラクールーガイェ著「南アフリカの歴史」Ⅱ(あるマンデラ氏の写真)

2005年02月20日 | 歴史
風邪をひいてしまった。

南アフリカ共和国(南ア)については17世紀にはじまるその植民時代からボーア戦争なども含め書きたいことが無限にある。しかし今日は止めておこう。

休みにする代わりに、画像を一つだけつけておこう。

この一見無頼な、指名手配写真とさえ思えるこの写真は、ネルソン・マンデラ前南ア大統領のものだ。
この写真は旧体制下に体制側からリリースされたものか反体制側からリリースされたものかはわからない。いずれにせよ獄中のものか逮捕される前のまだ若い時のものであろう。

マンデラ氏は20数年の獄中生活を殺されずに終えることができた。しかしその間どのようなおぞましい拷問をうけたかということは容易に想像できる。最後まで殺されなかったのは米国や英国をはじめとする当時の世界の良識がそうさせなかったのだろう。

マンデラ氏は出獄後見事に平和的な新体制をつくった。大統領の時代に日本にも来て歓迎を受けた。NHKでもインタビューを受けにこやかにユーモアも交えわかりやすく話したのを私も好感を持って聞いたのを思い出す。

今同氏をインターネットで検索するとにこやかな好々爺のような同氏の画像が出てくる。それと較べてこの写真は暗い、フラストレーションに満ちた、怒りに満ちた、そして私の考えすぎかもしれないが半ば絶望的な表情をしていると書くのは私の文学的表現に過ぎると笑われるだろうか。

この写真は伊高浩昭氏の「南アフリカの内側」1985年サイマル出版会 から借用している。
この写真に伊高氏は次のように付記している。
「ネルソン・マンデラ 南ア黒人から最も敬愛されているアフリカ民族会議(ANC)の最高指導者で23年間獄中にいる。」

私はマンデラ氏は数少ない「本物」の改革者であり、この人がいたおかげで、殺戮や流血なしに現在の
新体制の南アが誕生したのではないかと思う。終身刑に処せられて20数年も牢獄にいた、まるで岩窟王を絵に描いたような同氏が非道な白人政権に対する感情的な復讐を行わず、黒人のみならず白人も含めた南ア国民のために柔軟に対応した功績は大きいと思う。大多数の黒人に敬愛されていたからこそできたことだと思う。勿論それに対応した当時の白人政権の指導者も見事だ。それを最終的には認めた白人、非白人の国民も偉い。

マンデラ氏は南アの白人政権の元デ・クラーク大統領とともに1993年のノーベル平和賞を受賞している。それに値する。

思いがけず長くなってしまったが、今日はこのくらいにしたい。  (つづく)

画像は伊高浩昭著「南アフリカの内側」1985年サイマル出版会 より


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