岩谷久生先輩にお願いし、「私の鎌倉掃苔録」(鎌倉淡青会三金会での講演)の際のレジュメも頂いた。
同先輩の御承諾を得て掲載させて頂くことにした。(本来であれば、順序として「岩谷久生 鎌倉掃苔録」の
最初に位置すべきものであった。)
「私の鎌倉掃苔録」(三金会スピーチメモ) 平成23年8月19日
岩谷久生
1.「掃苔」とは
*広辞苑(岩波書店):(墓石の苔を掃く意)墓参り。特に、盂蘭盆の墓参
*日本国語大辞典(小学館):苔をきれいに取り去ること。転じて墓参り。季語・秋
*江戸時代の文人に先輩文人・学者の墓めぐり・墓参をする風や趣味があり、明治以降も森鴎外や永井荷風の作品や日記に出て来る(探墓など)
*「掃苔録」の語は藤浪和子(漱石の弟子。1888~1979)著・東京掃苔録(1940年刊。旧東京市内―現23区―の2477人の墓を廻ったもの)を拝借したもの
2.墓めぐりの楽しみ
前記の東京掃苔録の著者序に「故人を追慕し時代々々の世相にふれながら墓所を探るのは愉しい事である。偶々人が気づかなかったのを見出した時の忝なさは、探墓を経験した人のみがしる怡びである」とある
私は、それぞれの人の墓の前に立つと、その人の一生がそこに込められているように思い、その人の前に立っているような気になる
3.私の「墓めぐり」歴
①奈良・大阪の古墳めぐり・・・古代史への関心から
②天皇陵めぐり・・・①の延長
③東京にある江戸時代の学者・文人・幕末の幕府官僚の墓めぐり・・・漢学者はじめそれぞれの人の一生への関心と漢文の墓誌を筆写してそれを訓読する楽しみから
④鎌倉の墓めぐり・・・①②③と散歩の延長
⑤海外の墓・・・屈原・項羽・劉邦・劉備・孔明・孫権・李白・杜甫・柳宗元・蘇東坡・耶律楚材・曾国藩・魯迅・ドストエフスキーなど
4.鎌倉にある墓の特徴
①昭和の学者・作家・画家・映画人などの墓が圧倒的に多い
②鎌倉時代・室町時代の政治家・僧侶の墓があり、特にこれらの石塔に見るべきものが多い。ただし殆んどは「伝・・墓」「・・墓説」「供養塔」
③江戸時代のものが少ない(一箇所に集中)
5.墓参にあたって気をつけること
①墓参である・・・「拝む」気持ちを忘れない
②脚下照顧・・・山道・階段・石垣の上などで足元が悪い
③寺・墓地事務所などに遠慮なく聞く・・・番地も明確な表札もなく(戒名ではわからない)、呼びかけても答えてくれない
6.鎌倉で有名人の墓が多い場所は
東慶寺・円覚寺・瑞泉寺・建長寺・妙本寺・寿福寺・鎌倉霊園など
7.私が墓参した鎌倉の墓
別紙の通り(非公開のものを除き、いずれも一度は実際に墓参したもの。
必ずしも有名人だけでなく、私が関心を持っていた人・偶々名前を記憶し
ていた人・その都度頭に浮かんだ人などを含んでいる)。
8.参考:主要な石塔の形(それぞれの形の墓に参りけり・・・虚子) ①宝篋印塔 ②五輪塔 ③層塔 ④宝塔 ⑤無縫塔
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画像:筆者撮影