ふわり綴り

不安定なアッチの続き。気ままに気に止まったコトをメモメモ。

内需縮小への道程、決定か。

2008-02-01 11:04:55 | 経済
自民党財政改革研究会が再開、基礎年金国庫負担上げ財源確保などテーマに(ロイター) - goo ニュース
ついでに、社会保障改革の為に、消費税増税を話し合うという人名一覧メモ。
社会保障国民会議 名簿
大森 彌
NPO法人地域ケア政策ネットワーク代表理事、東京大学名誉教授
奥田 碩
トヨタ自動車株式会社取締役相談役
小田 與之彦
社団法人日本青年会議所会頭
唐澤 人
社団法人日本医師会会長
神田 敏子
全国消費者団体連絡会事務局長
権丈 善一
慶應義塾大学商学部教授
塩川 正十郎
東洋大学総長
清家 篤
慶應義塾大学商学部教授
高木 剛
日本労働組合総連合会会長
竹中 ナミ
社会福祉法人プロップ・ステーション理事長
中田 清
社団法人全国老人福祉施設協議会副会長
樋口 恵子
NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長
南 砂
読売新聞東京本社編集委員
山田 啓二
京都府知事
吉川 洋
東京大学大学院経済学研究科教授

【連絡先】 内閣官房副長官補室
〒100-8968 東京都千代田区永田町1-6-1
TEL.03-5253-2111(内線82456)


消費税10%にこだわる財務省と自民党 ~増税なくして財政再建は可能~ - 日経BP (2006年5月8日)
中々、興味深い総括と提言があった。
PDF] Discussion Paper No. 623 景気対策・年金改革と消費税
2004年のもの。
一部抜粋

3.景気対策としての消費税
日本経済は10 年以上に亘って、景気低迷とデフレを続けてきたが、多くの経済学者などは景気対策の一環として消費税を用いることを提案してきた。本節では、消費税を景気対策の一環として用いる際の仕組み、メリットなどについて考える。
2002 年1 月18 日付けの『日本経済新聞』の「経済教室」の欄において、筆者の1人が、景気対策の一環として消費税を一定期間廃止するか、引き下げ、その後段階的に引き上げることを提案している(ホリオカ (2002))。このような政策のメリットは以下の通りである。

(i) 効果がある
消費税を一定期間廃止するか、引き下げれば、再び引き上げるまでは、駆け込み需要(買いだめ需要)が発生し、消費が刺激され、景気がよくなることが期待できる。

(ii) 財源が少なくて済む
恒常所得仮説によれば、所得税減税の場合は、恒久減税でないと効果がないが、恒久減税だとかなりの財源が必要となる。それに対し、消費税減税の場合は、(期限を区切ると、駆け込み需要(買いだめ需要)が発生するため)期限を区切った場合のほうがむしろ効果が大きく、財源が少なくて済む。

(iii) デフレ対策としても有効
消費税を一定期間廃止し、または引き下げた後、段階的に引き上げれば、財政政策によってインフレをもたらすことができる。それによってインフレ期待が根付けば、消費税の引き上げが終わった後もインフレが存続し、デフレから脱却できる。したがって、消費税を用いれば、景気対策にもなり、デフレ対策にもなる。

(iv) 公平である
一般的には、消費性向は所得が低ければ低いほど高いため、低所得者のほうが消費税減税の恩恵を受けるはずであり、景気対策の一環として消費税を用いることは公平性の観点からも望ましい。
したがって、景気対策の一環として消費税を用いることには少なくとも4つのメリットがあり、大きなデメリットは見当たらない。
日本政府は景気対策として特別減税(一時的な所得税減税)などを用いたが、上述のとおり、所得税の場合は、恒久減税でないと効果がなく、特別減税を実施したとしてもそれほど効果は期待できない。したがって、日本政府は景気対策として特別減税(定率減税)の代わりに消費税を用いるべきであった。
日本経済はようやく回復の兆しを見せているが、最近回復のテンポが鈍っており、万が一日本経済が再び低迷すれば、日本政府が景気対策の一環として消費税の利用を検討すべきである。

4.年金改革と消費税
日本の公的年金制度は事実上、賦課方式の制度であり、退職者の年金給付は現役世代の保険料によって賄われる。従って、年金財政は人口の年齢構成に大きく依存し、人口が急速に高齢化するにつれて、年金財政が悪化してきている。そして、日本政府は、年金財政を維持するため、給付の削減、保険料の引き上げ、支給開始年齢の引き上げなどを実施してきた。ところが、それだけでは、年金財政を維持できなくなってきており、何らかの形で消費税に頼るという案が浮上している。
与党案も民主党案も年金の財源として消費税に頼ることを提案しているが、詳細は大きく異なる。そこで、まず与党案と民主党案を順番に紹介したい。

(以下略)


5.政策提言
以上、消費税および所得税について理論的考察を行い、日本の過去・現行の消費税と所得税の構造について評価し、景気対策・年金改革の一環としての消費税の位置付けについて検証したが、最後に、これらの分析を踏まえて政策提言をしたい。

(I) 消費税の効率性と公平性を同時に高めるために、Corlett and Hague (1953) に従って、余暇と補完的な消費財の税率を高くし、余暇と補完的な消費財の税率
を低くすべきである。

(II) 消費税は公平性を高めるために、必需品である食料品の税率を他の財よりも低く、またはゼロにすべきである。

(III) 所得税の効率性を高め、貯蓄減退効果を緩和するために、貯蓄(資本所得)に関する優遇処置を再び導入すべきである。

(IV) 所得税の公平性を高めるために、再びより累進的な構造にすべきである。

(V) 日本政府の財政再建の一環として消費税を引き上げるべきであるという意見が少なくはないが、消費税を引き上げる前に所得税の捕捉率を上げ、それでも不十分だったら、所得税の累進性を高めるべきである。なぜならば、現行の消費税は効率性の観点からも公平性の観点からも問題があり、所得税は他の国と比較しても、過去と比較しても低い水準にあり、捕捉率および累進度を高めることによって、税収を大幅に増やすことができるからである。

(VI) もし景気が再び落ち込み、デフレになれば、消費税を一定期間廃止した後、段階的に引き上げることによって消費を刺激し、インフレをもたらすべきである。

(VII) 年金改革については、賦課方式の制度から積立方式の制度への移行が最も望ましいが、これが実現不可能であれば、民主党案に賛成である。

(II)に関して言えば、11 月2 日の基礎問題小委員会後の会見で、政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は、消費税増税の際の食料品への軽減税率適用について、「(適用の場合)税務の執行では混乱を多々招く面もある。総会で実態を含めて(委員に)説明した上で、そういう困難があっても食料品を軽減税率に持っていくという動きが強ければ、そちらの方に話を持っていきたい」と語った。11 月20 日過ぎには来年度税制改正に向けた答申をまとめたいとしている。食料品への軽減税率適用については、国民の支持を得られる可能性も高いだろうし、実際に政府税調においても提案されている案であるため、我々が食料品への軽減税率適用を働きかけていくことは重要であると考えられる。

(V)に関して言えば、11 月6 日発表された財務省試算では、10 年後の2014 年度には消費税を21%まで引き上げる必要があるとされた。筆者は逆進的な消費税の引き上げには反対であるが、消費税が引き上げられる可能性は非常に高く、もしそういうことになれば、提案(I)と(II)によって消費税の公平性と効率性をいずれも高めることが益々重要になる。
これらの提言を実施すれば、日本の税制(特に消費税・所得税)の効率性および公平性を同時に高めることができ、日本の社会および経済の活性化に繋がると確信している。
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参考文献
Corlett, W. C., and Hague, D. C. (1953), “Complementarity and the Excess Burden of Taxation,” Review of Economic Studies, vol. 21, pp. 21-30.
八田達夫 (2004a)、「税収制約の下での物品税改革の理論」、岩田規久男・岩本康志・本多佑三・松井彰彦編、『現代経済学の潮流2004』(東洋経済新報社)、3-27 頁。
Hatta, T. (2004b), “A Theory of Commodity Tax Reform under Revenue Constraint,”
Japanese Economic Review, vol. 55, pp. 1-16.
Horioka, Charles Yuji (2001), “Japan’s Public Pension System in the Twenty-first Century,” in Magnus Blomstrom, Byron Gangnes, and Sumner La Croix, eds., Japan’s
New Economy: Continuity and Change in the Twenty-First Century (New York: Oxford University Press Inc.), pp. 99-119.
ホリオカ、チャールズ・ユウジ (2002)、「税制で個人消費刺激:買い急ぎへと誘導、景気回復後の増税を公約(経済教室)」、『日本経済新聞』(1 月18 日)、29 頁。
Ramsey, F. (1927), “A Contribution to the Theory of Taxation,” Economic Journal, vol. 37,pp. 47-61.