見えすぎてしまうのはけっして
幸いではない
では見えないとしたら
どうなのだろう
四六時中想うほど
甘くはない
だけど忘れている時間が
いとおしさを積み重ねて
ゆく
誰のためでもなく私は私のために
外側にではなく内側へと
できるだけその他大勢に紛れ
何物にも縛られること無く
詠う
わたしの存在に気づいて
でも
気づかないで
空模様は春の気まぐれ
桜の花は間に合うだろうか
ひととき
時計の針を巻き戻す
そして
私は幼子となり
散りゆく桜と戯れる
薄紅いろが風になって舞う今宵の わたくしはこのまま薄紅いろを髪に肩にあるいはこゝろに秘めて帰路を あるく
感情は単一ではなく複数が折り重なって生まれいずる
だけど
感情が創りあげる涙はたぶん きっと願いをこめて
純粋培養
美しさは平穏が奪い
きみの顔は穏やかになった
鋭利な顎と 引き換えに手に入れたそのまるい頬は美しさを否定するかのように
誇らしい
聞きたくて
空に耳を澄まして
感覚に反射させる
一本の道を右に左に揺れながらでも踏み外すことなく
たまにわざと
片足立ちなんかしちゃって