はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

肉松(rousong)

2006-04-26 22:26:08 | 中国企業で働く
この会社に来て約2年半。
いつかこの日が来るんじゃないかと恐れていたのだが、
ついに、ついにこの日が来てしまった。

ついに、「肉松(rousong)」の資料を、日本語に翻訳しなければならない日が来てしまったのだ!!

「肉松」、カタカナで書くと「ローソン」、とは何ぞや? とおっしゃるアナタ。
中国に来たら、まず非常地元的パン屋をのぞいてみてください。
これが上にのっかったり、中に入ったりした調理パンが、必ずあるはずです。

ローカルの翻訳会社はこれを「肉そぼろ」と訳していたが
絶対違う。あえて訳せば「肉でんぶ」だろうか?
魚の「でんぶ」なら日本でも巻寿司なんかに入っているが、
肉の「でんぶ」は日本にはないと思う、多分。
少なくとも日本では、神戸の中華食材店でしか見たことない。

中国人の間では「肉松」は「ひまわりの種」と並ぶ(?)ヒット商品らしく、スーパーでも売られていて、ご飯の上にかけたり、パンにはさんで食べたり、
意外なところではサラダの上にツナのようにしてどばっ、と盛られていたり、ロールクッキーの中に「これでもか!」というくらい詰まっていたりして、ナカナカ油断大敵である。
はまっている人(中国人)に言わせれば、「たまらん美味しさ」らしいのだが…


うちの会社のお客様は、日本市場の開拓を目指す無数の中国企業なワケだが、
先方企業の人は日本語はおろか、「日本?何ソレ?」という人がほとんどなのはまあ仕方ないとして
恐ろしいことに先方企業から契約を取ってくる、うちのセールスもそれと大して変わらないレベルだったりする

セールスが契約を取ってきて、お客様の中国語の資料をローカルの翻訳会社にまわすのだが、ローカルの翻訳会社にも日本人はいないため、そのままの日本語ではとても使えない。
最終チェックの段階で、ようやく社内唯一の日本人である私のところへ上がってくるのだが、

つまり私のところに来るまで、誰もその会社/製品を日本向けにPRすることについて、ギモンのカケラも持つ人はいないワケなのだ

その結果、どうなるか。
お客様には大変申し訳ないのだが、シロウトの私の目から見ても
「どう考えても日本では売れんだろう、これは」としか思えない製品/会社が当然出てきてしまって、爆笑の連続である

これじゃせっかく契約取って、翻訳、編集して手間をかけてプロモーションしたって、結局日本側からのオファーが全然来なくて、お客様から恨まれてしまうのは目に見えている。

思い起こせば、これまでも色々あった…

中国粥専門の紫砂鍋型炊飯器とか(しかも電圧中国仕様)、蚊帳とか、金ピカ布袋さん巨大像とか、鉱山掘る時のツルハシセットとか、いつの時代やねん?っていうサイケ(死語)なアートとか、まぶしい牡丹柄魔法瓶とか、ネジまわし式目覚まし時計とか…。

いちいち挙げればキリがない
「非常中国すぎて、どないせえっちゅうねん!」とツッコミ入れまくってしまう、中国人以外には摩訶不思議なモノの数々。

上記のモノも用途がわかってるだけまだマシで、用途すらよくわからないモノもあったりして、翻訳するのに死ぬほど苦労してきた

「も、もうここまで来たら、最後は子供用の『尻われズボン』か、『肉松』だろう」と覚悟を決めていたら
今日、ついに来てしまって、もう一人で笑いをかみ殺すのに必死

しかも「当社の製品は広く全世界に向けて販売され、ご好評を博しております。」
って…。
よっぽどこの一文を削除してやろうかと思ったが、
いや、中国人は昨今全世界中それこそどこにでもいるから、
全世界の中国食材店では売られていたりして、そこでは確かに好評を博しているのかも知れない。
苦しいが、無理やりそういうことにして、そのまま訳した

この会社の製品は肉松と、牛肉干。
牛肉干はまあ、私でも食べて食べられなくもないから、500歩譲って日本でも売れるかもしれない。
でも中国生活約3年半、牛肉干も臭豆腐も田ウナギも蛙もサソリもクリアできた私でも、
クリアできない最大の難関:「肉松」。
こっちにいる外国人の間でも、いまだかつて「美味しかった」という言葉を聞いたことのない「肉松」。

「肉松」、日本人には難度高すぎ!
と思うのは私だけか

確かにこのご時世、次に何が流行るかわからないから、
いつか日本市場で「肉松」がもてはやされる日がきて、その報道をTVで見ながらしみじみと、
「これはね、私が若いとき翻訳したんだよ…」と、子や孫に向かって語る、そんな日が
本当に来てほしいような、絶対に来てほしくないような…(号泣)

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