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「カンニングできないなんて不公平」!?大学入試試験監督集団暴行事件

2013-06-27 06:16:04 | その他
『南方週末』6月20日号より

湖北省の大学入試会場で起こった先生の集団暴行事件。

中国ではカンニングが習慣的に行われていて、カンニングを専門に手助けする業者や機器販売業者もあります。
携帯電話や消しゴム型受信機、イヤホン型受信機など高度化するカンニング機器に対し、政府も金属探知機を使った持ち物/身体検査、試験会場のネット接続遮断などの措置で対応しようとしていますが、防ぎきれているとは言えない状況です。
大学入試ともなれば、カンニングの支援に一科目数万元の金が動いていると言われ、業者にとっては大きなビジネスに、親にとっては相当の負担になっています。

受験生はもちろん、その親や学校の先生、さらに地元政府までがグルになってカンニングを奨励/黙認していた、という日本ではちょっと信じられない構図。
前半部分を訳しましたので、ご紹介します。

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「カンニングできないなんて不公平」!?大学入試試験監督集団暴行事件

事件の発生前から、試験監督の先生たちは何度も殴られていた。県外から派遣された先生による厳格な試験監督に、カンニングに慣れていた鍾祥県の親達は猛反発した。水面下では『カンニングを大目に見て下さい』と嘆願する行為が絶えず行われていた。

鍾祥県では『教育ブランド』を町おこしにするため、長年にわたって試験会場の規律が失われていた。教師が直接カンニングに関与し、カンニング会社の代理人をする教師もいた。
昨年の大学入試、鍾祥県はすでに省考試院よりイエローカードを出されていた。

「政治的業績」を求める政府と、「成績」を求める親達の間で、高い進学率は双方の共通目標だった。学校は教育の初志である教育法に違反し、親達は公然と子供達のカンニングを援助し、大学入試のためにできることは何でもやった。ただ子供達の人格育成だけが忘れ去られていた。




受験生の親達による試験監督の先生への襲撃が始まったのは、6月8日大学入試の終了を告げるベルの音が鳴った約15分後だった。

湖北省鍾祥市の学生と親達は、鍾祥第三中学の校内にある受験事務室目指して突入を開始した。彼らの目的は他県から派遣された「道理も人情もない」試験監督官への報復だった。
憤怒した人々の群は罵詈雑言を吐きながら、筆記用具の入った袋を先生へ向かって投げつけた。
54人の試験監督官は、答案用紙を抱えて試験教室の1つである階段教室に隠れた。階段教室の窓ガラスにはすぐに石が投げつけられ、粉々に砕けた。外の人々の群は防犯ドアを打ち壊し始め、恐怖の収まらない先生達は教室の内から必死に警察に通報し、同僚に助けを求めた。

試験会場近くの市民は皆この混乱を目撃している。夕方6時現場付近に集まった人々は1000~2000人に上り、校門を破壊して校内へなだれ込み、校内にあった車は破壊された。その後到着した警察は鍾祥第三中学に通じる道路をすべて封鎖し、再度校内へなだれ込もうとする人々を防いだ。双方の対峙が続いた後、包囲された試験監督の先生達は夜8時半、ようやく特別警察の護送をうけて各自の区、県へ帰った。事件はツイッターやメールによって世間に知られることとなった。



これは中国の大学入試の歴史上初の、受験生の親達による試験監督官集団包囲攻撃事件である。しかもこの事件の発生した鍾祥県は、湖北省では有名な「大学入試に強い県」だった。

取材の中で、他県から派遣されてきた試験監督の先生達の「道理も人情もない」行為が、子供達の入試前にカンニングのためにつぎ込んだ巨大な投資を水の泡にしてしまったことが、親達の怒りの直接的な原因だということがわかってきた。
この「大学入試に強い県」では過去数年前から大学入試の不正行為が氾濫し、今年は特に親達が大金をつぎ込んでカンニングをさせようとしたこともわかってきた。

「私達の要求は公平だ。カンニングさせてくれないなら、公平にならない。」記者が親たちへの取材中に最も多く耳にした言葉だ。この言葉の意味は、この「大学入試に強い県」がどのようにして作られたのかを調べなければ、理解することができない。


カンニングできなかった、先生を殴れ

事件の発生前から、試験監督の先生たちは何度も殴られていた。他県から派遣されてきた先生達は身の危険を感じていた。

試験監督の先生たちの携帯電話には、試験日の前から嘆願のメールや電話がひっきりなしにかかってきた。すべて鍾祥県の先生や受験生の親達からだった。「●●試験場の△△(名前)をよろしくお願いします」まだ自分達の試験監督する会場すら知らなかった頃からだ。

鍾祥県を管轄する荊門市では芸術系、体育系の大学入試を今年初めて他県の先生に試験監督させることになり、試験会場となった鍾祥第三中学には荊門市及び京山県から27人の先生が派遣された。

6月7日、2013年の全国大学入試が始まり、912万人の受験生がこの運命の試験に臨んだ。各地の教育部門は「最も厳しい大学入試」のスローガンの下、持ち物検査、金属探知機など一連のカンニング防止措置を発表した。

鍾祥市試験会場の金属探知機は、第一科目の国語の試験会場入場から鳴りっぱなしだった。その後の身体検査で、携帯電話や消しゴム型カンニング装置が受験生の腰や下着の中から次々と見つかった。カンニング用の携帯電話をパンツの中に縫い付けている受験生までいた。身体検査のため、27の試験会場のうち20教室に女性教師が配属され、残り7教室でも女生徒の身体検査は女性教師が行なった。受験生が電子製品を試験会場に持ち込むのは禁止されているため、先生は容赦なく没収していった。携帯電話やカンニング装置を所持していた受験生は全体の半数に上った。



消しゴム型受信機

数学の試験終了後、ある男性教師は受験生とその親に呼び止められ、殴られた。駆けつけた警備員が説得してその場は収まったが、男性教師は鼻血を出していた。

その男性教師は数学の試験中、その受験生の持っていたIphoneを没収した。
試験終了後、男性教師は答案用紙を持って試験事務室へ戻った。その時事務員の一人から「10-6」と書いたお金の入った分厚い袋を渡された。その番号はさっきIphoneを没収したあの受験生の受験番号だった。その約10分後、彼は受験生とその親に殴られた。

この事件は他県から派遣された先生達に身の安全に関する恐怖を与えた。政府の治安責任者は殴られた男性教師に謝罪し、今後このような事件が起こらないよう保証すると言ったが、その夜、ある女性教師の携帯電話には匿名のメールが入った。「お疲れさまです。明日の試験では少し融通をきかせて頂けることを望みます。」

しかし試験二日目の午前、総合科目の試験終了後、今度は荊門から派遣されてきた別の先生が殴られた。試験監督の先生たちは自分も襲われるのではないかと思うと、居てもたってもいられなかった。鍾祥市の治安責任者は再度学校へ来て陣頭指揮をとった。午後の英語の試験では、試験会場の各階に2名以上の警察官が配置された。
厳しい身体検査で不正がすべて防げるものではない。ある女性教師は6月8日の総合科目試験終了間際に、ある受験生から消しゴム型カンニング装置を没収した。しかし女性教師はその受験生を叱責する勇気はなく、ただその受験生の側に立って無言で反省を促すことしかできなかった。

しかし大学入試終了のベルが鳴った後、試験監督の先生への集団襲撃はやはり起こってしまった。試験監督があまりに厳しいと抗議し、「カンニングできなかった、先生を殴れ」の怒声が起こり、鍾祥市の大学入試不正現象が明らかになった。この事件の起きる前、鍾祥市の大学入試進学率、特に名門大学進学率は湖北省でもトップクラスだった。

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出典:南方週末6月20日号
“不作弊,不公平”一个高考“強”県的養成 湖北鍾祥集体圍攻監考人員調査
http://www.infzm.com/content/91555

2年前の鍾祥市大学入試会場のことをネット掲示板に暴露した書き込みがある。
それによると
①携帯電話、カンニング機器の持ち込み可
②試験監督の先生はカンニングを黙認
③学校の先生はチームを組んで試験開始後すぐ問題を解いて回答をメールで送信→生徒達にそれを写させていた
④カンニング効果は素晴らしいものだった。本来200点しか取れない人が500点以上に!本来二流大学しか行けない人も一流大学間違いなし!?

まさに「カンニング、皆でやればこわくない」でしょうか。

試験監督が他県から派遣された先生で、今年の受験生は運が悪かったんですね~(苦笑)

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