うちの会社が香港市場に上場した。
今まであえて書いてこなかったのだが
本格的な上場の動きは数ヶ月前の臨時従業員大会の頃からあって、
社内ではかなり落ち着かない日々が続いていた。
杭州の社長のマンションで、たった10数名のベンチャー企業として出発したのが約8年前。
会社は拡大を続け、子会社も何社か持ち、他の会社の買収も進めた結果、
今や約8000人の従業員を抱えるグループ企業に成長した。
社員に分配される社内株数(?)は、入社時に通知される。
当然古くからいる社員ほどその配分は多くなっている。
社内で素晴らしい業績を上げたり、地位が高くなるとまた加算される場合もある。
しかし、入社時に通知された株はあくまでもそれを手にする「権利」であって、
毎月毎月指折り数えながら一定以上の年数を勤め上げないと、その権利の全部はもらえない。
気分はほとんど「おしん」、いや「丁稚か女中の年季奉公」である。
私が入社したときは、上場なんてまだ全然縁のなさそうな話だったのが、
ここ2年くらいで急に現実味を帯びてきた。
正直な話、社内でブチ切れて今度こそ辞めようと思ったとき、
この「年季奉公」のゴールを見て、振り上げた拳を何度下ろしてきたかわからない…。
(たとえ大した額になり得ないとしても、失業保険も退職金も何もないガイジンの私にとっては、これが唯一の福利になる可能性があるからである。)
同期入社の同僚の約半数が既に会社を去り、欧米人の同僚たちもついに一緒にこの日を迎えることはできなかったが、
私と同じような思いを抱いて、それでも歯を食いしばって辛抱して踏みとどまって、この日を迎えた同僚もきっと大勢いることだろう。
何故ならこの社内株で、人生が変わってしまうかも知れない人も大勢いると思われるからだ。
うちの会社の従業員の平均年齢は、27歳。
杭州出身の人より地方出身の人の方が多く、学歴も日本で言う短大卒くらいの人が多い。
当然給料はそう恵まれている訳でもなく、民営企業なので福利も期待できない。
彼らにとって唯一と言ってもいい希望が、この社内株なのだ。
平均年齢27歳の若さでも、地方出身者にとってはこの物価の高い杭州で、
結婚費用に車、マンション購入、子供の教育費、と
とにかくお金のかかることは山ほどある。
特に杭州のマンションの値段は、既に彼らの平均年収の20倍以上に跳ね上がっているわけで、
安月給でローンを組んだとしても、かなり厳しい現実である。
農村出身の同僚の中には毎月田舎の両親に仕送りをしている人もいて、
もうそんな人にとっては、この株によってもたらされる(と思われる)お金は、
もしかすればこれまでの人生で見たことも、想像したこともない額だったりするかもしれない。(注:あくまでも推測)
上場が近づくにつれ、権利を行使するためのお金や、事前に納めなければいけない所得税の振込みなどの手続きがあったりして慌しい日々が続き、社内は異様な空気に包まれていた……。
会社は「落ち着いていつも通り仕事しろ」と言うのだが、
そんなことは金持ちの上層部だから言えるのであって、
本人はもちろん家族、親戚だって騒ぎ出してるだろうと思われるこの状況で
平静でいろと言う方がムリってもんだろう、と思う。
しかし全社員のうち、社内株の権利を持っているのは約60%。
ここ一年ほどの間に大量に採用された新入社員達には、このお楽しみが回ってこないのである。
新入社員たちの気持ちを考えると複雑な気持ちで、
だから他の同僚がどれだけ騒いでいても、私はまるで関係ないガイジンのフリ(?)を装って、毎日モクモクと仕事を続けてきた。
しかも個人的に最近不愉快な大事件(?)が勃発して、もう爆発を通り越して噴火寸前の状態で、会社への不信感がつのりまくり、
とても単純に会社のために喜ぶ気持ちにはなれないのだが、
私と同じように、年季奉公のために今日まで辛抱してきた同僚たちのためには、少しは喜べる気がする…。
それにしても入社した頃には、まさかこの日が来るなんて想像できなかった…。
しかも
不本意だがこの日を社員として迎えることになろうとは、夢にも思わなかった。
……人生、ほんまに何が起こるかわからんもんである…。
今まであえて書いてこなかったのだが
本格的な上場の動きは数ヶ月前の臨時従業員大会の頃からあって、
社内ではかなり落ち着かない日々が続いていた。
杭州の社長のマンションで、たった10数名のベンチャー企業として出発したのが約8年前。
会社は拡大を続け、子会社も何社か持ち、他の会社の買収も進めた結果、
今や約8000人の従業員を抱えるグループ企業に成長した。
社員に分配される社内株数(?)は、入社時に通知される。
当然古くからいる社員ほどその配分は多くなっている。
社内で素晴らしい業績を上げたり、地位が高くなるとまた加算される場合もある。
しかし、入社時に通知された株はあくまでもそれを手にする「権利」であって、
毎月毎月指折り数えながら一定以上の年数を勤め上げないと、その権利の全部はもらえない。
気分はほとんど「おしん」、いや「丁稚か女中の年季奉公」である。
私が入社したときは、上場なんてまだ全然縁のなさそうな話だったのが、
ここ2年くらいで急に現実味を帯びてきた。
正直な話、社内でブチ切れて今度こそ辞めようと思ったとき、
この「年季奉公」のゴールを見て、振り上げた拳を何度下ろしてきたかわからない…。
(たとえ大した額になり得ないとしても、失業保険も退職金も何もないガイジンの私にとっては、これが唯一の福利になる可能性があるからである。)
同期入社の同僚の約半数が既に会社を去り、欧米人の同僚たちもついに一緒にこの日を迎えることはできなかったが、
私と同じような思いを抱いて、それでも歯を食いしばって辛抱して踏みとどまって、この日を迎えた同僚もきっと大勢いることだろう。
何故ならこの社内株で、人生が変わってしまうかも知れない人も大勢いると思われるからだ。
うちの会社の従業員の平均年齢は、27歳。
杭州出身の人より地方出身の人の方が多く、学歴も日本で言う短大卒くらいの人が多い。
当然給料はそう恵まれている訳でもなく、民営企業なので福利も期待できない。
彼らにとって唯一と言ってもいい希望が、この社内株なのだ。
平均年齢27歳の若さでも、地方出身者にとってはこの物価の高い杭州で、
結婚費用に車、マンション購入、子供の教育費、と
とにかくお金のかかることは山ほどある。
特に杭州のマンションの値段は、既に彼らの平均年収の20倍以上に跳ね上がっているわけで、
安月給でローンを組んだとしても、かなり厳しい現実である。
農村出身の同僚の中には毎月田舎の両親に仕送りをしている人もいて、
もうそんな人にとっては、この株によってもたらされる(と思われる)お金は、
もしかすればこれまでの人生で見たことも、想像したこともない額だったりするかもしれない。(注:あくまでも推測)
上場が近づくにつれ、権利を行使するためのお金や、事前に納めなければいけない所得税の振込みなどの手続きがあったりして慌しい日々が続き、社内は異様な空気に包まれていた……。
会社は「落ち着いていつも通り仕事しろ」と言うのだが、
そんなことは金持ちの上層部だから言えるのであって、
本人はもちろん家族、親戚だって騒ぎ出してるだろうと思われるこの状況で
平静でいろと言う方がムリってもんだろう、と思う。
しかし全社員のうち、社内株の権利を持っているのは約60%。
ここ一年ほどの間に大量に採用された新入社員達には、このお楽しみが回ってこないのである。
新入社員たちの気持ちを考えると複雑な気持ちで、
だから他の同僚がどれだけ騒いでいても、私はまるで関係ないガイジンのフリ(?)を装って、毎日モクモクと仕事を続けてきた。
しかも個人的に最近不愉快な大事件(?)が勃発して、もう爆発を通り越して噴火寸前の状態で、会社への不信感がつのりまくり、
とても単純に会社のために喜ぶ気持ちにはなれないのだが、
私と同じように、年季奉公のために今日まで辛抱してきた同僚たちのためには、少しは喜べる気がする…。
それにしても入社した頃には、まさかこの日が来るなんて想像できなかった…。
しかも
不本意だがこの日を社員として迎えることになろうとは、夢にも思わなかった。
……人生、ほんまに何が起こるかわからんもんである…。
やっぱり大騒ぎできか。はっはっは~~。そりゃそうだろな。
タイトルの四字熟語勉強になります。
これで、心置きなく何時でも机ひっくり返して
「辞めてやるっ」が言える?・笑
一週間たって、社内の雰囲気もやっと落ち着いてきました…。
同期はともかく、先輩方は何かと騒いでました。これで人生設計まで変わっちゃいそうな勢いです。
>JIZIさん
これでやっと、やっと正式に奉公明け、でございます(号泣)
社員株は半年間売買が禁じられているので、
奉公明けまで辛抱して待った甲斐があったかどうかは、半年後までわかりませんが、
大きな肩の荷が一つ下りたような気分です。
新人も入ってくれたし、そろそろ潮時、かも知れません…。