はと@杭州便り

中国杭州で仕事&子育てしているはとぽっぽのページです。

妊婦休憩室

2011-01-20 17:42:29 | 中国企業で働く
うちの会社は女性が多い職場である。

入社当時、同じ部署だった6人の女性社員も皆結婚し、私を含め5人がママになった。
うちの部署は4年前から大量採用を始めたのだが、その頃に入ってきた若い社員たちも皆適齢期を迎え、結婚、出産休暇を取る人も増えてきた。

ところが。

「●●さんがおめでた」という話を聞いて、数週間~数ヵ月後に、
「やっぱり流産したらしい」と聞いてびっくりする、というケースが後を絶たない。
ざっと思い出しただけで、私が産休から復帰してからこの1年半ほどの間だけで
11人が妊娠し
2人が出産し
7人が流産しているのである。
(残る2人は今も妊娠中)

無事出産した2人も、妊娠初期に「流産の危険性がある」と言われ、
自宅休養したり、病院へ注射を打ちに通ったりしていた。
皆私よりずっと若いのに、である。

原因について
「仕事が忙しくて残業ばかりで、ちゃんと休養が取れていないからだ」とか
「今の『80後』(1980年以後に生まれた人)は身体を鍛えてないから、その上の世代より身体が弱い」とか
「いやいや、経済発展による環境汚染のせいだ」とか、色んな説があるのだが、
少なくとも昔一緒だった同僚達のときは、そんなことはなかったのに。

会社が市内からこの僻地に引っ越してから、こんなことが頻繁に起こるので、
「もしかしてここが呪われている…?」というウワサまで飛び交う始末。

会社も重い腰をあげて、先月末、ついにオフィスの一角の小部屋を改装し、「妊婦休憩室」なるものを設置した。
会社がまだ市街地にあった頃にも、この「妊婦休憩室」があって(別部署のものだったが利用できた)、妊娠中は私もほぼ毎日お世話になっていたのだ。
部屋の中に横になれるソファが2つ、置いてあるだけの簡素なものなのだが、
一日10時間近く座りっぱなしの仕事で、30分でも横になれると随分楽になったのだった。
出産後も搾乳のために使わせてもらおうと思っていたら、会社が引っ越して休憩室もなくなってしまい、
受付の人達に頼んで彼女達の使っている倉庫兼更衣室を使わせてもらったりしていたのだが、やっぱりとても不便だったのを思い出す。

それにしても。
私が思うに、若い同僚達の流産が後を絶たないのは、皆の言っている理由のほかに
「妊娠6ヶ月になるまでちゃんとした病院にかからず、エコーもしない」
「一人しか生めないため、生まれる時期や性別などが気に入らないからと言って、安易に中絶する人が多い(中絶に罪悪感がない)」というのもあると思う。

以前ブログにも書いたが、こちらでは妊娠6ヶ月までは日本で言う保健所のようなところで検診をする上、それもまじめに行かない人が結構いるのだ。
流産の兆候はあったのに、対応が遅れて気付かないまま流産してしまう人もいると思う。

中絶については、中国語では中絶のことも「人工流産」と言う。
日本では妊娠中期以降の中絶は基本的によほどの理由がない限り、認められていないはずなのだが、こちらではかなりお腹が大きくなっても中絶している人がいる。

中国では医者が妊婦にお腹の赤ちゃんの性別を教えるのはご法度、のはずなのだが、
実際にはあの手この手で性別を知ろうと思えば知ることができるようだ。

中国ではまともな性教育も行われていないのに、学生結婚は認められておらず、
少し前までは妊娠がわかれば退学処分だったらしい。
10代~20代前半で望まない妊娠、中絶を繰り返す若者が後を絶たないそうだ。
日本では販売が禁止されている強い中絶薬(こちらでは市販されている)を飲んだり、
闇のお医者さんで手術を受けたりするため、適齢期になってから子供がほしいと思っても妊娠しにくかったり、流産を繰り返したりする。

一方、私の日本の友達はアラフォー世代で、去年、今年とおめでたが続いている。
先週も日本の友達から「無事安産」のお知らせを受けて、とても嬉しかったのだが、
ここにいると、健康な赤ちゃんを無事出産するということが、なんだかとても有難いことのように思えるのでした。

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3 コメント

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Unknown (のぶ@上海)
2011-01-21 20:53:23
私が聞く中国人女性の皆さんも流産が多い気がします。
年齢は30歳くらいで私よりも若いのにね。

アラフォー世代日本人の出産、私の周辺でも多いですよ。
きっと出産を選択するのはいまがタイムリミットだって思っているからでしょうね。同じアラフォーの私は思います。
先日、無事に出産したのはAちゃんのこと?
だとしたら、ぜひよろしくお伝え下さい。
私もそのうち後に続けたらいいな。
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Unknown (二姐)
2011-01-24 00:11:03
こんにちは。久しぶりにmixiのあしあとをおっかけて
はとぽっぽさんちにもおじゃましました。ぺた(^^)

日本の性教育もお粗末すぎて何とも言えないのですが、
今の時代になってもこの地のそれはさらにお粗末で、
何が起こっても不思議はない感じです。
みんなもっと自分の体を大切にして欲しいし、
生命について考えて欲しいなと思います。

何事も過程の大切さを無視して、
結果オーライな現状を物語っている気がしてなりません。

世の中便利になって、生活環境も良くなって、
赤ちゃんを授かることのありがたさ、
みんな忘れているかもしれませんね。
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Unknown (はとぽっぽ)
2011-01-24 16:49:06
>のぶさん
私の会社の同僚達もみんなアラサーなんですが、流産の多さにびっくりします。

日本ではあまりこういうことを職場で大っぴらに公開しないだけで日本でも本当は多いのか、それともやっぱり中国が多いのか、真実はわかりませんが…。

「性別が気に入らないから流産してくる」とはっきり言う人もいて、本当に仰天します。

>二姐さま
私もTVで明るい中絶手術のCMを見るたび、愕然とします。こちらでは胎児は人間、いや生物とさえ見なしてないような気がします。

私が妊娠したときも、「で、要るの?要らないの?」って表情一つ変えずに言った中国のお医者さん、大キライです。

世界一の人口大国で、政府も計画出産を奨励している以上、仕方ないことかも知れませんが、安易で危険な中絶が繰り返される限り、この国に人権などという言葉はないと思います。

国が多少豊かになっても、いや豊かになればなるほど、二姐さんのおっしゃる通り「何事も結果オーライ」な風潮になっていくのでは、と危惧しています…。
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