大丈夫か
2018年12月11日
VFRは50ccのバイクとは比べ物にならないくらい、異常に重かった。
何?分かってる。
いやいや、
「軽って660馬力じゃないですか?」
とか
「軽自動車だから軽油入れるんでしょ?」
って声も聞こえてくるから。
「へえ~っ?!リッターバイク!ナナハンとどっちが大きいの?」
なんてのも以前は能く聞いた。
歳は食っていても自動車学校は初めて。
物珍しさからきょろきょろするところだけど、今回はそんな余裕はなかった。
何しろ原付の「講習会」と違って、名前は「学校」。まあ、行ったところは「ドライヴィングスクール」と言ってたけど。
(受験の時「ドライビング」、でなくって「ドライヴィング」ですから、書き間違えないようにしてください、って念を押された)
スクールであろうと学校であろうと、学校であることに変わりはない。
いや、きょろきょろできなかったのは、そんな理由から、じゃない。あの重いバイクに本当に乗れるんだろうかという不安で頭が一杯だったからだ。
原付で通う、乗り始めて半月ほどの30半ば近い男。
ちゃんと自分のヘルメットを持って(当たり前か、原付、乗ってるんだから)。
こいつを教官連は
「ずっと原付に乗っていて、今になって免許を取りに来た」
と思っているようだ。「バイクが好きなんだろう」、と。良い方に誤解している。
まあ、そりゃそうかもしれない。周りを見るとほとんど十代。
ちょっと年かさでも30を超えているようなやつはいない。
「でも、30超えてりゃ、普通クルマでしょ?何を好き好んでバイクなんか。ねぇ~?」
世間はそう言う。
実際、以降ずっと言われたんだから、陰口。
「クルマの免許、持ってないみたいだよ。取れなかったんだろうな」
「クルマ、買えないらしいよ」
「免許は持ってる、って?やっぱり買えないんだ」
親族は直接言う。
「クルマ買えよ。免許ないのか」
大きなお世話だ。
「買えない」んじゃなくて「買わない」の!
そんなことはどうでもよい。とにかく「バイクが重い!」
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ちょっ、ちょっ、ちょっと待って!
2018年12月13日
「バイクを立てて。サイドスタンド上げて。はい、乗車してください」
真直ぐ立てたらどうってことないけど、ほんの数センチ、どちらかに傾けば、奴さん一気に車重を預けてくる。
自乗倍くらい急激に重くなる。当たり前のこと。
この「当たり前のこと」を「理解」するのと、
現実の「急激に重くなる」のを「実感」するのでは、随分に違いがある。
「そんなことは考えなくても分かってる」。
迂闊にもこの一言で片づけていた。甘かった。
早い話、「理解」に関しては「ん~、ちょっと待ってね。今考えるから」という余裕、猶予期間がある。
けど「実感」ということになると、「おっ、こういうことだったのか」と、瞬時に分かったって、即応できるわけではない。
「事故の瞬間、全ての事がスローモーションのように見える」
というけど、だからと言ってそのスローモーションの中、危険を回避できるのかと言うと、それはできない、と言う。それ、めちゃくちゃ恐怖だ。
能く言う「頭ではわかってるんですけどねぇ~。身体が付いてこない」。
真っ直ぐにしていたバイクを、ほんの少し傾けてしまった。
「おっ、重くなった。バランスが崩…おっとっとっ、ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってぇ~!」・・・「ガッシャーン」。
・・・こんな経験、しそうだ・・・。
と思って、細心の注意を払って取り組んだ一時間目。
僅か二週間程でも、クラッチレバーのあるバイクに乗って来ていたおかげで
、クラッチレバーを用いての発進・停止の練習で慌てふためくことはなかった。
そして「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってぇ~!」からの最悪の展開も、幸いなことに現実化することはなかった。
ただし飽く迄も一時間目の話。