「中国軍は台湾を侵略する陣容を整えたとは言えない」
玉沢徳一郎(元防衛庁長官)が台湾で講演
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2023年7月3日、前原誠司議員が野党議員団十名を率いて台湾を訪問し、蔡英文総統と面会した。
その前日、玉沢徳一郎元防衛庁長官(防衛大臣)は台湾「日台交流協会」(事実上の日本大使館)で講演し「中国軍は台湾を侵略できない。理由は戦力不足である」として、次のよう述べた。
「中国が台湾に侵攻するには少なくとも130万人から160万人の兵力が必要、その兵員を輸送する能力がない(強襲艦は8隻)」。
また中国は「食糧安全保障の問題」に直面しており、台湾侵攻には総合的な兵站を含む能力を欠いている。
玉沢氏は続けてこう述べた。
「中国は以前、輸入穀物の多くをロシアとウクライナから得ていた。こうした食料輸入もロシアのウクライナ侵攻によって脅かされた。中国の人口の60%が豚肉を食べているが、豚肉1kgの生産には30kgの穀物が必要である。戦争のイロハとして、豊富な食糧が必要である。もし中国が戦争を始めれば、直ちに食糧不足に直面するだろう。『腹が減っては戦はできぬ』」。
中国政府は侵略が失敗することを認識しているため、台湾に対して攻撃的な認知戦争の戦術を採用していると付け加えた。
ちなみに玉沢氏は早稲田大学雄弁会出身で、海部、森、小渕ら歴代首相と親しかった。大学院時代の論文は「中ソ対立」で、当時、一枚岩と考えられていたソ連と中国が抜き差しならない対立にあることを玉沢氏は早くから掌握していた。
中国人の癖は演出、芝居好き、嘘つきである。異常なほど声高に何かを吠えるときは、舞台裏では異なった行動をとっていることが多い。
たしかに玉沢氏の指摘するように、戦争は勝利だけを目的とはせず、戦闘準備で国内を統一する統治の効果的方法でもある。侵略直前に異変が起きて、戦争どころではなくなる例も世界史には多い。
いや、日本とて聖徳太子は300隻の船団と2・7万の兵士を用意していたが。出陣直前に指揮官の弟君が急逝して中止に追い込まれたし、藤原仲麻呂は新羅攻撃のため、400隻3万を出航直前に疫病が蔓延し沙汰止みとなった。
政治は、一寸先は闇である。
「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和五年(2023)7月5日(水曜日)弐
通巻第7819号 より
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【中国人の癖は演出、芝居好き、嘘つきである。異常なほど声高に何かを吠えるときは、舞台裏では異なった行動をとっていることが多い。
たしかに玉沢氏の指摘するように、戦争は勝利だけを目的とはせず、戦闘準備で国内を統一する統治の効果的方法でもある。】
「外交は演出・芝居・騙り」=舞台裏(本音)を読まねば。
「中国人の癖は」とあるけれど、外交に限って言えば「世界は腹黒い」。どこの国も同じ手法を取っている。だまし合い、脅し合い、皮肉というオブラートに包まれた口喧嘩。テーブルの上で握手しながら、下で蹴り合っている。
確かにこれじゃ「外交の極意は正心誠意」なんてことを言っていると相手国は笑い死にしてしまうかもしれない。
しかし、「外交の極意は正心誠意」に勝てるものはどこにもいない。
何故って、「正心誠意」は詰将棋。
ルールを守らない外交を、世界は(最終的には)受け入れない。