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走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

苦い終わり

2014年11月24日 | 仕事
ジェシカの赤ちゃんが産まれた。前編はこちらから。

35 週だったので未熟児だった。9月に全病院に送られた通知の通り、出産後直ぐに赤ちゃんはMCFDによって保護され、彼女は事実上親権を失った。赤ちゃんは未熟児ケアと退薬症状(母親が妊娠中に使用していた薬は胎盤を通して赤ちゃんも影響を受けていた。もうその薬が入ってこない状況は退薬症状を引き起こす)のケアでNICU(未熟児集中治療室)へ送られた。

経膣出産で異常分娩ではなかったので母親は24時間で退院。退院時はかなりの荒れようだったらしい。ソーシャルワーカーや病棟の看護師が気を使い本人が納得した上で、赤ちゃんの写真と髪の毛を切って渡したらしい。

退院後の翌日私に会いに来た。昔のようにモデルのようなモダンなメークをし悪いムードではなかった。出産後の問診をしている途中に急にムードが変わりつじつまの合わないことを言い出した。その中で騙された、赤ちゃんを取り上げられた、取り返すのを手伝って欲しい、お前もグルだと罵倒が始まる。そして診察もなしで彼女は去っていた。

苦い気分だった。私の目標は達成したのに。赤ちゃんの安全そしてスムースな出産。赤ちゃんの置き去りを防ぎ、受け入れ病院側の混乱を最小限にする。

彼女を追い続けた4ヶ月間も終わりだ。今回も母親になれなかったジェシカ。どんなアプローチをしたら彼女は母親になれたのだろうと、やはり考えてしまう。

彼女は病院を去る時に赤ちゃんの写真も髪の毛も忘れてきたと言う。赤ん坊への執着心が全く測れない。難しい、、、



高架下。散乱したゴミはここに居座っていたホームレスの仕業とデニーが言っていた。


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