走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

ママとママ

2015年01月18日 | 仕事
Give a man a fish, feed him for a day.
Teach a man to fish, feed him for life.
魚を一匹あげると一日食べれる。魚釣りを教えたら一生食べれる。

物資をあげることは一時的な助けになるが根本的な解決になはならない。生きていく術を教えることが大切と言うことです。

クリスマス時期、シェルターや教会は物資で溢れます。大勢の人たちが貧しい人もせめて暖かいクリスマスが過ごせますようにとドネーションをもってくるから。あちこちで温かい食事が配られホームレスの人や貧困層の方々も体重が増える程。

溢れる物資に慣れてしまった人にとって1月は辛い時期です。普段の生活に戻るだけだが、人間新しい生活レベルに慣れるのには時間がかかるもの。

先日、職場のワークショップで素晴らしいスピーカーと出会いました。彼女は生きて行く術を教えるにはどうしたらいいかと考え、斬新的なスタイルのNPOの組織を4年前に立ち上げました。

母親と母親のバディシステムです。

自転車の乗り方をどうやって学んだか?きっと親から学んだ人が多いはず。もし親が自転車の乗り方を知らなかったら、それどころか自転車自体を見たこともなかったら、自転車に乗れないであろう。

人から人へ生きる術は教えられるもの。もし教えてくれる人がいなければ生きる術を知らず大人になってしまう。残念ながら貧困層に育った人は生きる術を習得するチャンスが少ない。それに加え社会のつながりも薄く、助けを求めようと思っても頼める相手もいない。それをそのままにしておけば、次の世代も同じことの繰り返し。母親になってしまったが母親としての自信もない、どう生きていいか分からない、そう言う人にボランティアの女性が(子育てがおわって次の生き甲斐を探しているベテランママさんが多い)バディを組んで相談役、手伝いをして行くと言うもの。

賃貸アパートを追い出されて、次の部屋探し。なかなか見つからない。バディママの知り合いがレンタルしてくれる人を探している。条件もピッタリ。紹介する。しかし予算より家賃が3万円も高い。諦めるママにバディママは言う。交渉してみよう!ママは驚く。そんなことはしたことない、してもいいのか?!駄目元で聞いてみるものよ!と励ますバディママ。交渉の末契約成立。バディママがいなければママはきっと今でも家なし。

人脈を持ち、人付き合いが上手い人にとってはなんてことないことだ。しかし、そう言う経験もなし、光景を見たこともない人にとっては目から鱗が落ちるような経験だ。4年の活動の間ドロップアウトしたママは2人だけとか。参加するにはある程度の条件にみあっていなければならない。それはプログラムの成功とボランティアを守るために必要なことだ。

彼女の活動はここでみれます

小児科医である彼女。仕事を通して生まれた疑問から始めた活動。素晴らしいの一言です。



ザイオンを離れて次の公園へ。公園の外も素敵。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。