走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

薬物中毒 その2

2016年09月27日 | 仕事
前にも書きましたが、依存には段階があって薬物使用者でも人に知られる事もなく社会生活を送っている人もいれば、社会生活を送れないほど依存が酷くなっている人、摂取しても摂取しても、量を増やしても効果が得られないほどになる人も。私はこの最後の2つのスペクトラムの事を薬物中毒だと思う日本人が多いと思う。

しかし中毒と言う表現は正しくない。昨日書いた一酸化炭素中毒や食中毒のような中毒症状はない。あるのは耐性。ポジティブ(陽性)だったリワード(薬を使用する目的としていた反応)が得られにくくなった、もしくは得られなくなるという耐性だ。そしてネガティブなリワードを引き起こす。今まで得てきていた薬を摂取する目的の逆の効果が現れる。例えば強い不安や鬱だ。それに耐えれず、薬をくれーとヤクザ映画で見たような行動を引き起こすのだ。

じゃあ、オーバードースって?

オーバードースの事を中毒と言うのは正しいのかも知れない。摂取した薬の影響で体が死に向かって進んでいくと言う点に限れば。しかしtoxic とかtoxicity とかとは言わない。toxic と言うとどうしても水銀とか コレラとか蛇や蜘蛛の毒とか、ウイルスや菌を思い浮かべる。

麻薬で起きるオーバードースは大量に摂取した麻薬による副作用で呼吸抑制が起こりそれが死亡に至る。覚せい剤などのアッパー系の薬は副作用で心拍数が異常に上昇しその結果死亡に至るとか。

続く

急に秋の気配。


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