走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

スカラーと呼ばれる研究家

2019年08月05日 | 仕事
日本から世界のジャーナルに投稿が少ない、と昨日書きました。そこをもう少し詳しく。私が思うその理由は、、、
1. 看護系大学院の乱立- 教える立場に立てる人が育つ前に乱立した事で教員側の質がかえって下がった。
2. 英語実践能力の低さ
3. 大学の教育を測る北米のようなクレデンシャルシステムが日本にはない
4. 大学院教員の労働環境
の4つだと考えています。
2については以前に書きました。こちらをどうぞ。

今回は4について

アカデミアと呼ばれる人たちは研究家。看護の未来を築くリーダーで研究を重ね知識を構築していきます。ナイチンゲール以来、世界の多くのスカラーと呼ばれる先人達が知識のブロックを積み重ねて、その路を作り、引き続き作っています。

研究家の主な就職先は大学。どっぷり研究に浸かって論文書きをせっせと行なっています。そういう大学環境が日本にはありますか?

こちらは私が卒業した大学の教員紹介のページ
Professor
Associate professor
Lecture
Instructor
Clinical Assistant Professor
と肩書きもいろいろ。学士課程の受け入れ学生数が120人いるサイズですが、教師陣はリストに載っている人だけで46人もいます。
教授、助教授と呼ばれる人は看護学生の実習には行きません。授業も年間に1ターム(3ヶ月)に1教科ぐらいしか持ちません。それは研究に集中するためです。そして学生の研究を監督する為でもあります。
日本のように不得意な分野も授業をするように強制させられることもありません。餅は餅屋。分野ごとに分かれてそのブロックだけ。専門がいなければ外から契約で持ってきます。実習へは実習教員として雇われた人が行きます。

大学のランキングに大きく影響を与える論文掲載の数やインパクトファクターが高いとかを狙うためにも研究家の人にはしっかり研究と論文書きをしてもらうことが大学の最優先課題なんです。あちこちからヘッドハンティングもすれば、結果を出せないものは切られる、とてもシビアな世界で生きている人たちなんですよ。

もちろん私の職場のように研究家を雇うところもあります。そこでもまた雇用の理由は研究活動のため。臨床の掛け持ちなんてありえないんです(私の職場はそうです)。こういう人たちは質的、量的のリサーチの知識に富、論文能力にたけた凄い人たちなんです。アカデミアの世界のキラキラスターだから臨床家の私は足元にも及ばない雲の上の人が研究家となるのです。

ちなみに私の母校はスカラーのオールスターと言っていいほどの実力者が多くいる大学です。トロント大とカナダでの看護学部のランキング1位の座を毎年接戦で競いあっている。どこの雑誌か忘れたのですが世界に影響を与えた看護師スカラーとして個人の世界ランキングを論文について複数の角度からトップ10(20か40だったかも) を出したのですが、各部門のトップ10 に選ばれた教授の数が各部門ごとに4-5人いた驚異の記録でした。カナダは論文数も人口比率で計算するとアメリカを抜いて上位(2位か3位だったはず) ですから。個人順位のトップ10に数多くのカナダ人が入っていたのも納得の結果。スカラーの宝庫なんですよ。私のスーパーバイザーをしてくださった教授も2か3部門でトップ10に入っていました。スーパースターに教わった割にはしょぼい結果に終わったけどね。今の自分があるのは母校でしっかり学んだからと胸を張って言えるのは誇りと言っても良いと思います。

おっと横道にそれてしまった!アカデミアの世界って凄いんです。日本でもこのような環境でどっぷり研究に勤しむ環境ができて、世界のジャーナルで日本に在住する日本人スカラーの名前を見るようになって欲しい!!!数より質をまずは目指しましょう〜〜
t
続く


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