走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

AYA世代

2022年12月11日 | 仕事
AYA世代と言う言葉をご存知ですか?AYA世代とは、Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)の頭文字をとったもので、主に、思春期(15歳~)から30歳代までの世代を指しています(と、日本のサイトより。海外では29歳ぐらいまでを言います)。

がん領域で注目され、今では全分野へ広がっているコンセプトです。なぜこのようなコンセプトが出てきたでしょうか?

医療は成人と小児の分野があります。小児科というと乳児や幼児、学童期を思い浮かべると思いますが、実は18歳まで。と、言うか成人分野の医師は基本、小児を診ない。しかし小児科も1番の花形は乳児から学童期。小児科の中ではAdolescentと呼ばれる中高生あたりを避ける医師もいる。こうなるとじゃあ誰が診るの?となるわけです。

高校生にもなると体の大きさはほぼ成人。しかし心理面はまだ成熟しきっていないのが普通。小児科と言う名の下小さな椅子や机に座っている姿が想像できますか?かと言って成人病棟で80や90歳のおじいちゃんとおばあちゃんと同室になる姿は?

患者会でも、AYA世代は小児領域、成人領域にしっくり馴染めない。そりゃそうだ成長発過程を考えればわかる。このようなことから医療を小児と成人に分けるのではなくてAYA世代に特化するものを作らなければならないのではないか?となったわけです。

特に19歳になったから小児から成人に代わるのは飛躍すぎる変化で、ここで健康を悪化させる傾向があり、このコンセプトが誕生したわけです。

で、本題。私はFamily NPなので揺り籠から墓場までのケアを提供しなければなりません。よって小児もAYAも成人も老年もなのですが、専門医が必要となった時AYA世代の紹介が難しいのです。特にメンタルヘルス系。小児精神科の待ち時間は半年とか一年と長すぎ!メンタルヘルス系の中で鬱や不安症は小児科医も診てくれるのですがAYA世代は断られます。だって数年で成人になってしまうから。しかし成人の精神科医は小児は診ないから、とこれまたキッパリ断られます。だからFamilyNPや家庭医や総合診療医が対応するしかない、となってしまいます。

でもこの思春期こそ気持ちが不安定で鬱や不安症、拒食障害などが起こりやすい。ADHDの状態が教育成果や雇用に現れる期間でもある。高校のクリニッ診療をしていて、大概のケースは自分で対応できる。救急へ行かなければならない時は救急経由で精神科医が診察する。しかしその中間が困るのだ。今週もそんなケースあり。慎重に慎重に。脳はまだ発達段階。薬の適応も小児と成人の間では違いあり。はー、溜息が出そう。

冒頭写真: 薬師如来。万翠楼を建設する時に出てきた如来。湯上がりの休憩所となっています。飲泉(薬師如来の左手にあり)の美味しいこと!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。