走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

選り好み

2014年12月26日 | 仕事
私が住んでいるそして働いている街はベッドタウンとして急激に人口が増えているところ。成長率は25%と言われている。医療機関の整備の遅れが深刻な事態を起こしている。街にたったひとつの病院は過剰な患者数に閉鎖(新患を受け入れられない状態)状態に頻回になり、出産も隣町に廻されたりする。訪問看護部門は受け入れまでの待ち日数が異常に長く隣町の3市から応援を受けている。しかし緩和ケアの人不足は深刻で家で亡くなることが必ずしもサポートできない状況だ。日本と違いジェネラルプラクティショナー、ナースプラクティショナーがプライマリーケアープラクティショナー(PCP)として人々の健康を支える(患者個人が専門医へ行くことはできない、必ずPCPの紹介状が必要など)仕組みでPCPが人口に必要な数だけいないと医療の質が下がるようになっている。

もちろん私の街はPCPの絶対的な数が不足していることも深刻である。街が大きくなるに従って新しいクリニックもオープンしている。しかしこんな状態なので医師側も患者を選ぶことができる、と言うなんともひどい事態が発生している。

慢性病を持っていない
麻薬を服用していない
精神病がない
薬物依存がない

上記全てに当てはまれば自分の患者として受け入れますとはっきり言う医師がほとんどなのだ。疾患で差別される。とんでもない。しかし州全体の医師不足からも貴重な医師たちを優遇することが優先され、悲しいかな患者は二の次状態だ。

私の今のポジションはこの改善策の一つでもある。誰にも受け入れてもらえないオルファン(医療孤児)を受け入れること。10月末に一人の医師が街を去り大勢のオルファンが生まれた。同時に新しいクリニックがオープンしたがそこで断られる患者が私のところへ来るようになった。

筋金入りのコンプレックスな人達だ。複数の慢性病、精神病はもちろんそしてその他色々。服用している薬の量も半端でない。驚くような薬の組み合わせの人達もいる。慢性疾患の指導も不十分で、いったいどこから手を付けていいのか、、、お手上げ状態気分になる時も。こういう人を断る医師の気持ちがわからないわけではない。ゼロからのスタートは簡単だ。一緒に歩きながらナビゲートしていけばいい。しかし誰か他の人が糸をこんがらせているのを解きながらまっすぐさせていく作業、その間にも患者の病気は進行する、、、、。何倍もの労力が必要だ。

できる限りのことをする。誰かがやらなくちゃいけないから、、、。



BC州発祥の地と呼ばれる場所から北の山を望む

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