走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

NP(仮称)への第一歩 その5 立法事実

2021年12月10日 | 仕事
シリーズ5日目

意見交換会は看護協会参与の弁護士のプレゼンから始まりました。その中で出てきたことが「立法事実の積み重ね」これを積み重ねることで法改正が必要だとロビーできる、との話。私は今回18の質問や意見を参加中に送った。以下はそのうちの一つ。

「立法事実の積み重ねについて。看護協会、NP協議会はどのような事業予定があるのでしょうか?例えばデータ収集、研究サポートなど。」

立法事実の積み重ねが必要というのなら、今までの三団体の業績、これからの予定なども発表して欲しいと思う。そうでなければ、視聴者はこれからの方向性がわからないと思う。そこまで示さないで終わってしまったので、視聴者に丸投げしているような印象を受けました。

で、今回のプレゼンで使われていた、日本看護協会「2019年訪問看護における看護師のケアの判断と実施に関する実態調査」 ※全訪問看護ステーション(2019年7月1日時点・10,411施設)の管理者を対象に行い、620人から回答を得た について。

“7割以上の訪問看護ステーションが、医師の指示が得られず、 症状が悪化した事例が「ある」と回答”

についてグラフによる説明があり、医師だけではタイムリーなケアができないからNP(仮称)が必要と話されていた。私が質問、意見として出したものは以下です(誤字脱字をお許しください)

「2019年の訪問看護における看護師けあの判断と実施に関する調査の、論文もしくはデータ、調査デザインを閲覧することはできるのでしょうか?
このスライドを見る限り、看護師のインプレッションについての調査であり、実際患者がそういう状況になったかどうかを証明するのは難しいと思います。またその負の影響の強度も重要になってくると思います。素人目にも、もしこれが事実で有ればかなりの数の医療訴訟が起こっているということですよね。何が言いたいかと言うと、これでは反対派を説得できないと思います。」

以前にも書きましたがタイムリーな対応ができるようNPが必要!論は成立しません。その理由は
1、医療者は全員がタイムリーに業務をしているはず。できないのはシステム的な問題があるため。例えば医師の業務量の多さ、看護師のコミスキル、観察と判断スキル、コミのためのツール利用、看護師と医師のギャップ- 緊急性の違い
2、医師が対応できないからNPで埋めると言っているように取れますが、NPの総数を医師の総数を上回る数で作る事を目標としているのですか?それとも在宅では医師は必要なくNPのみが働く場にするのですか?これでは医師を追い出す策に取られます。
3、そしてこのアンケート調査の研究的価値です。全文を読まずに判断するのは大変失礼ですが、研究的な視点で言えば、これは研究と呼べません。何故なら言葉の定義(悪化、遅れ)、回答への影響因子、などデザイン時点で採用されない(デザインが悪い)と思うからです。それを出すことで誰を説得させようとしているのでしょうか?医師を敵に回すのは避けられないし、真に研究を理解しているスカラーには呆れられ、日本の看護が世界で言う看護プロフェッショナルから距離があることを示してしまっていると思います(スカラーの視点でイメージダウン)。これは調査で研究ではない、と言いますか?これだけEBPが叫ばれる時代ですよ。それは通らないと思います。立法事案の一つにもならないものを出してどうするんですか、、、、

こういう時にスカラーが世界へ出せるような研究を持ってきてこそ、周り、そして看護師の心を掴むのではないでしょうか?

立法事実が重要なので研究費に00万円むこう3年予算を確保し、看護スカラーや統計学者の雇用、診療看護師、各大学への研究サポートで立法事実を積み重ねる予定です!と聞きたかったなあ、、、(涙

続く





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