託されていること

私は何度もシステムと言う言葉をブログで使います。物事が上手くいかない時に個人のせいにしてしまいがちですが、同じようなことが複数に起こる場合は、個人の問題ではなくてシステム的な問題である可能性が高い。その場合、どんなに個人が努力しても改善されない。よってシステム的な見直しが必要とされる。

この場合システムが意図するところは社会構造です。社会構造は法律や規則などで形作られています。庶民のことよりお金持ちを優先させる考えの人が法律を作ればお金持ちに有利な社会構造になりやすいのです。よって誰が誰のためにどうやって法律や規則を作っているか？国民全てに対する公平性はどうか？と常に考えていく必要があります。

で、カナダの先住民族に対する社会構造的な差別を考える時、この社会構造を変えていく必要があります。カナダの法律はヨーロッパから来た白人によって作られていて、先住民の意見は全く取り込まれなかったからです。

例えば、先住民族が長年行ってきたセレモニーを違法としました。それにより多くの先住民族が犯罪者となり、刑務所へ連れていかれたのです。言語、医療、お祭り、しきたりや、ものの考え方などです。

私は自らの意思でカナダへ行き、郷に入れば郷に従えのごとく、カナダの言語風習に合わせていくのが当然だと思っていました。もちろんその過程で自分は一体誰なんだ？カナダ人になりきれない日本人？！そもそもなり切るってどう言うこと？？？とアイデンティティーについて悩んだ時もありました。

しかし先住民族の場合は、自分達が住んでいた土地へ勝手にやってきた白人たちに相談もなく決められ、こうあるべきと強制されるたのですから、私のケースとは随分違います。おっと話が横道へ行ってしまった。

社会構造を変えていくためには、そのものを吟味していく活動が変化へ導いていきます。そのためにその社会構造を作っていく人、英語ではポリシーメイカーと言います。ポリシーメイカーに役立つ事実を提示しなければなりません。その一つがスカラーによる論文(研究)です。社会構造によるアウトカムや歴史的検証、先住民族の声を言語化していくことがスカラーに託されているのです。

あら、医療にも似ているところがありませんか？先住民族を患者と入れ替えて見てください。社会構造、アウトカム、ポリシー、ポリシーメイカー、これらを正しく理解できることも高度実践看護師として期待されるところなのです。

冒頭写真: 警戒レベルが3なので桜島へ行くことが出来ました。写真は有村溶岩展望所から撮影しました。降灰予報が天気予報の一部とは！さすが鹿児島。