goo blog サービス終了のお知らせ 

走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

テレビのような話で

2015年08月06日 | 仕事
チェルシーが駆け込んでくる。助けてほしい。薬をやめたいの、家も見つけたいのと。
20代前半の彼女。若くて美しい容姿。薬物使用歴は長い。10代の時に治療に行き3年ドラッグフリーの歴史あり。しかし再開後なかなかやめられないでいる。

そんな時に出会った年上の男性。無料で薬物をチェルシーにあげ、チェルシーはなんて優しい人なんだと思ったそうだ。チェルシーの男友達はうまい話には落とし穴と忠告したが彼女は聞かなかった。
そしてその男は真実を明かす。今までの借りを返してもらおう、と詰め寄る。暴力を使い、薬を餌にチェルシーを操る。チェルシーは彼の言いなりで娼婦として働かなくてはならない状況に。

怖いというが今逃げたら、男友達が彼女の代わりに殺されるから、男友達と逃げるのが条件。1人ならどうにかなるが2人は難しい。男友達と離れ離れになるからという理由で治療施設へ行くことも、女性用にシェルターへ行くことも断る。ヘロイン使用者だがメサドンは服用したくないなど注文も多い。
診察中も年上の男のことを気にして入り口を頻回に確かめ、ソワソワしている。

長い話の後彼女が選んだ道は、年上の男と今まで通り戻ること。

非常に無力さを感じる。しかし本人が承諾しなければ何も出来ない。その一線は越えられないのだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。