現在、国の委託を受けて、複数の研究機関と大学が行っている地震研究のひとつに、「東海・東南海・南海地震の連動性評価研究」というプロジェクトがあります。
聞いたことのある方も多いと思いますが、過去の大地震の履歴から、東海地震、東南海地震、南海地震の3つの海溝型地震が、ほぼ同時に連動して発生する可能性が高いとみられています。そこで、来たるべきXデーのために、(予知への道も模索しながら)メカニズムの研究、リアルタイムモニタリング、そして防災計画を一体的に研究しようというプロジェクトです。
当初3月末に開催される予定で、東日本大震災のために延期されていた平成22年度の成果報告会が本日開催され、私も出席しました。
東海・東南海・南海地震の研究の成果発表会ですので、一年間の研究の進捗報告が中心ではありますが、どのテーマから始まっても、結局は東日本大震災を事前に誰も察知できなかった反省と、いかに次の地震に役立てるべきかということに収斂しました。
■地震学者は立ち上がっている
地震学は理学のなかでもほかの分野と違って、社会的な影響の大きい課題を対象にしているため、使命感を強く意識して仕事をしている研究者が多い分野です。それだけに、今回、地震学が事前の情報発信などに貢献できなかったことに強いフラストレーションを感じている人が多いと思います。
「現在の地震学が不十分であったことをまざまざと見せ付けられた。少しでもマシにしないと、亡くなられた方々に報いることができない・・・」
「3.11を境にしてわれわれは変わった。どれだけ備えが十分だったのか。この国に住む限り、来るべき脅威と戦っていかなければいけない・・・」
「後付けで考えてみれば、少し前から変な動きをしていた。それなのに異常さに気づけなかった」
地震学者として今回の地震を全く予測できなかったことに対する忸怩たる思い、具体的な反省点、どうしたら次の大地震に今回の教訓が生かせるか、そのために今すぐ何に着手すべきかといった提案など、真摯な発言が相次ぎました。そこには、いい論文を書きたいということとは別の強い意志を感じました。
地震活動期に入ったとされる日本列島。そこに住む地震学者の士気は高まっています。今後、新たな知見が次々と明らかになると思います。研究結果はたとえ不確定であっても、住民の安全に繋がる情報であれば、できるだけ早く、うまく伝えて、防災に役立てなくてはいけません。
地震学者だけでなく、多様な役割をもった人が力を合わせていかに被害を減らせるか。それが、地震国日本に住む私たちに課せられた戦いなのだと改めて思いました。
■釜石の防災教育
研究を進めて防災に役立てることも大事ですが、今できることを確実にやることがまずは大事なのでしょう。
今日も話題に上ったのですが、釜石市では児童生徒のほぼ全員が、津波を逃れて無事でした。その鍵となったのは、群馬大学の片田敏孝教授(災害社会工学)による防災教育でした。
奇跡はいかに起きたか(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000131-san-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110531-00000133-san-soci
(1)想定を信じるな(2)最善をつくせ(3)率先避難者たれ
実際的な教えと、周到な避難計画、入念な避難訓練。ここにヒントがあるように思います。
聞いたことのある方も多いと思いますが、過去の大地震の履歴から、東海地震、東南海地震、南海地震の3つの海溝型地震が、ほぼ同時に連動して発生する可能性が高いとみられています。そこで、来たるべきXデーのために、(予知への道も模索しながら)メカニズムの研究、リアルタイムモニタリング、そして防災計画を一体的に研究しようというプロジェクトです。
当初3月末に開催される予定で、東日本大震災のために延期されていた平成22年度の成果報告会が本日開催され、私も出席しました。
東海・東南海・南海地震の研究の成果発表会ですので、一年間の研究の進捗報告が中心ではありますが、どのテーマから始まっても、結局は東日本大震災を事前に誰も察知できなかった反省と、いかに次の地震に役立てるべきかということに収斂しました。
■地震学者は立ち上がっている
地震学は理学のなかでもほかの分野と違って、社会的な影響の大きい課題を対象にしているため、使命感を強く意識して仕事をしている研究者が多い分野です。それだけに、今回、地震学が事前の情報発信などに貢献できなかったことに強いフラストレーションを感じている人が多いと思います。
「現在の地震学が不十分であったことをまざまざと見せ付けられた。少しでもマシにしないと、亡くなられた方々に報いることができない・・・」
「3.11を境にしてわれわれは変わった。どれだけ備えが十分だったのか。この国に住む限り、来るべき脅威と戦っていかなければいけない・・・」
「後付けで考えてみれば、少し前から変な動きをしていた。それなのに異常さに気づけなかった」
地震学者として今回の地震を全く予測できなかったことに対する忸怩たる思い、具体的な反省点、どうしたら次の大地震に今回の教訓が生かせるか、そのために今すぐ何に着手すべきかといった提案など、真摯な発言が相次ぎました。そこには、いい論文を書きたいということとは別の強い意志を感じました。
地震活動期に入ったとされる日本列島。そこに住む地震学者の士気は高まっています。今後、新たな知見が次々と明らかになると思います。研究結果はたとえ不確定であっても、住民の安全に繋がる情報であれば、できるだけ早く、うまく伝えて、防災に役立てなくてはいけません。
地震学者だけでなく、多様な役割をもった人が力を合わせていかに被害を減らせるか。それが、地震国日本に住む私たちに課せられた戦いなのだと改めて思いました。
■釜石の防災教育
研究を進めて防災に役立てることも大事ですが、今できることを確実にやることがまずは大事なのでしょう。
今日も話題に上ったのですが、釜石市では児童生徒のほぼ全員が、津波を逃れて無事でした。その鍵となったのは、群馬大学の片田敏孝教授(災害社会工学)による防災教育でした。
奇跡はいかに起きたか(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000131-san-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110531-00000133-san-soci
(1)想定を信じるな(2)最善をつくせ(3)率先避難者たれ
実際的な教えと、周到な避難計画、入念な避難訓練。ここにヒントがあるように思います。