図書館屋の雑記帳

自分のこと、図書館のこと、図書館関係団体のこと、本や雑誌など図書館の資料について気の向くまま書いていきたいと思います。

図書館の貸出至上主義って?

2006-04-23 | 図書館つれづれ
 図書館の活動を語るとき、「貸出至上主義」という言葉が時々使われます。
 これって人気の資料について複本を十分用意し、小説や漫画、実用書、ハウツー本など軽めの資料を多く収集し提供している図書館、というイメージですよね。こういう図書館もままありますが、こんな図書館に通って楽しいですか?
 こんな図書館でも一時的には貸出は伸びるし一定利用は続くでしょうが、長続きはしません。むしろそういった要望に応えつつ、深みのある蔵書を構成していたり、求められるものを徹底的に提供しようという姿勢を示している図書館にこそ利用者は新たな楽しみを発見し、10年以上にわたり高い利用率を示してくれるのではないでしょうか。それを十把一絡げにして「貸出至上主義」と言ってしまっていいのでしょか。
 「貸出」は良い図書館の必要条件であって十分条件ではありません。だから、一時的に高い利用率を示したからといって良い図書館とは限りません。しかし、良い図書館と思えるような図書館は例外なく高い利用率をそれも長期にわたり示しています。
 そもそもあまり利用はされないが良い図書館ってあるのでしょうか?
 ある人は「書店のヴィレッジヴァンガードのような図書館が良い図書館だ」と言います。これは大きな勘違いです。ヴィレッジヴァンガードは書店が客を選別し、特定の価値観を共有することで成立している書店であって、図書館の役割とは根本的に相容れません。
 文化は雑多であって、その時点の価値観だけでは抱合しきれないものを持っているが故に、司書の価値観だけでちんまりまとまった図書館を作るのではなく、城山三郎ではありませんが「粗にして野だが卑ではない」図書館を作りたいと思うのです。

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1 コメント

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頑張って下さい (中西K郎)
2006-04-24 01:20:02
中西です。「貸出至上主義」の図書館は楽しいかという問いで、僕は全国でも貸出数でトップになったことがある(確か)地元K図書館に通ってるので、「コメントしなきゃ」と思いました。

読みたいベストセラー本は図書館で読もう、と思った頃は、多々利用しました。『永遠の仔』『模倣犯』は凄いと思いました。佐野 眞一著『だれが「本」を殺すのか』で、こういう利用を揶揄する所があってドキッとしましたが、良くある発想ですよね。その佐野氏の「貸出至上主義」に批判的な指摘に、図書館屋さんは、どう受け止めたでしょうか? こちら、今は「夜回り先生」「ヤンキー先生」に興味があって、今のベストセラーにあまり興味ないです。図書館が限られた予算の中で複本を増やすのは、歓迎しません。予約の待ちが長いなら、他の方法も考えます。多様なニーズに応える図書館であって下さいませ。

「基地特集」はタイムリーで良いですね。頑張って下さい。「真理が我らを自由にする」。

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