ミルクレゥプのカルボナーラの逆襲2112 その時、納豆にネギも付いてほくほく

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Vince Staples - Summertime'06

2016-03-09 12:05:54 | 洋楽レビュー/感想 2015
洋楽レビュー/感想。

「醒める事がない真夏の悪夢」を表現してると同時に、
ダークでシニカルに「変わる事がない貧困層の黒人社会」も表現してる、
アングラ臭漂うダークでディープで不穏で不気味なヒップホップ作品。


◆Vince Staples - Summertime'06
トライバルなパーカッション音と重低音のビート音を軸に、
ピアノやオルガンやサンプリング音などなど、
いろんな音を部分部分で効果的に加えたりする、
ダークで不穏な感じがするアングラ臭漂う構成のトラックに、
時にメロウで妖艶だったりするものの、
基本的には地を引き摺るかのような粘着的でダークなラップ。
全編に渡って独特な変な緊張感が漂っており、
ぞっとするような冷たさや冷酷さもありますし、
時に呪術的で墓場に合うような雰囲気すらあるので、
聞いてると不安感を煽られ暗闇に迷い込むorズブズブと内に嵌っていき、
暗黒に染まって変な高揚感と虚無感に包まれて、
「白昼夢」を見てるような感じになりますし、
理想だけでは生きていけないのを身を持って実感してる、
貧困層の黒人社会で育った彼の「現実」から見た、
ブラックなユーモア的な物も多くあり、
実にダークでディープでドープな作品ですね…


似たような曲が多くて二枚組の長い作品なので、
集中して聞いてると途中で飽きてくる感は無いとは言いませんが、
ラップが確かなスキルに裏付けられていて、
テクニカルとは言わないまでも確かな上手さはあるので、
曲調と相まって「ぼーっ」と聞くには気持ち良いですし、
ゲストも多くて良いフックとして上手く機能しており、
時々聞けるキャッチーな部分のシニカルな感じとかも良いですし、
作品の構成が興味深く、
二枚とも1曲目が不気味な雰囲気漂う銃声で終わる同じトラックの曲だったり、
最後の曲は音がいきなり途切れて終わったりするように、
良い意味での「不穏で不快で気味悪い」感じがあり、
「醒める事のない真夏の悪夢」を表現してると同時に、
「変わる事のない貧困層の黒人社会」を、
皮肉を込めつつ表現してるのも実に素晴らしい!


端的に言うなら深いと同時にダークな作品で、
理想主義者で正義を信じてる人には不快に思われるかもですが、
リアリストで人の本質は悪と思ってる人には、
興味深く聞けると思う。良作!
ちなみに彼の音楽の目標は「人を不快にさせる事」らしいので、
これ聞いて不快に思った人は残念ながら彼の思惑通りですよw



PS
彼のインタビューで言ってた二つの言葉が興味深かったんで貼り。
「お前が何をしようが、この世界じゃみんな馬鹿になるんだよ」
「ラッパー達が「希望がない」とかほざく曲は即ちそこに平和なんてないって事だ」

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