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北村薫・宮部みゆき編「名短編、ここにあり」

2012年01月05日 | アンソロジー

 

ちくま文庫
2008年1月 第1刷発行
2011年4月 第14刷発行
367頁


半村良「となりの宇宙人」
既読ですが、何度読んでも楽しい
不時着したUFOに乗っていた宇宙人=宙さんの面倒を見るアパートの面々
江戸時代なら長屋物
笑っちゃうSFです

黒井千次「冷たい仕事」
今ではお目にかかることもありませんが、昔の冷蔵庫は庫内に霜がついて定期的に取らなくてはいけなかったのです
接待旅行先の旅館の冷蔵庫の霜を取るのに夢中になる男二人

小松左京「むかしばなし」
昔話の取材に訪れた学生たちを前に老婆が話し始めた内容に驚愕
途中から薄々わかりますが、やはり不気味です

城山三郎「隠し芸の男」
会社の中ではよくある話なのだけれど、怖いです
入社当時、軽く口に出したあのひと言が自分の会社人生を左右していたことを知った時の衝撃

吉村昭「少女架刑」
既読です
これも何度読んでも素晴しい
肺炎で亡くなった少女の一人称で語られる物語
死んだ身体は『物』のように解剖されサンプルを取られ、残ったのは骨だけ

吉行淳之介「あしたの夕刊」
当時、夕刊には明日の日付が入るものだったそうです
そこを上手く取り入れた話です

山口瞳「穴-考える人たち」
変な話でした
吉永小百合とかドストエフスキーとかが出てきます
実名を出しても許されるのかしらん

多岐川恭「網」
恋人との結婚が許されなかった男性が恋人の父親を殺害しようと計画を練ります
これ、絶対失敗する、と思って読んでいくと、やっぱり…
馬鹿馬鹿しいけど面白いです

戸板康二「少年探偵」
昔々、NHKで放送されたミステリー番組のネタを含んでいるそうです
頭の冴えた少年が次々謎を解いていくのは新旧を問わず爽快です

松本清張「誤訳」
あの時、なぜ、あのようなことが起こったのか
時間が経ってから、その理由にふと気づくものなのです
清張のやさしさが垣間見えます

井上靖「考える人」
「楼蘭」に収録されている短編『補陀落渡海記』を思い出します
木乃伊にならなければ生きられなかった男
木乃伊になってからも生きていたときと同じように、どうして現世は生きにくいかと考え続けていた

円地文子「鬼」
幸せな結婚ができない女性
母親が亡くなってから、母方の一族に鬼がついていることを聞かされる
時代を感じさせる設定ですが、親子の距離感がおかしくなっている現代にも通じる内容だと思いました

 

意外な作家の意外な逸品、名作
北村さん、宮部さん
ありがとうございました

 

 


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