新潮文庫
2013年11月 発行
解説・荒俣宏
316頁
昭和6年
青森
主人公は、今年19歳になったばかりの美しい娘・千歳
幼い頃に視力を無くした不自由を一緒に背負うと誓ってくれた最愛の夫を2年前に亡くした彼女は、ただただ夫の声が聞きたいばかりにイタコになった
動機が不純である彼女はイタコとしてはあまり優秀ではない
そんな千歳ですが、何やかや相談事が持ち込まれ、関連して不思議な出来事や猟奇事件に巻き込まれたり、死神に寄りつかれたりするのです
身の回りの世話をしてくれる幸代の協力もあり、すべて最後には解決されますが、その過程で描かれる、理屈では説明出来ない人間の複雑な心模様
ファンタジー、オカルト、ミステリーの要素に加え、人情もふんだんに織り込まれ、怖さの中に人の温かさや東北という土地に根付く「ある何か」も描かれた面白い作品でした
亡き夫の声が聞こえないという千歳ですが
彼女が気付いていないだけではないのかしら、と思える件がいくつかありました
今後の「修業」次第かな
(^_^)
芯はしっかりしているものの、ちょっと頼りないイタコ・千歳が活躍する他の作品も読んでみましょう
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