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映画・キリマンジャロの雪

2012年07月01日 | 映画(海外)

 

2011年 フランス

原題 Les neiges du Kilimandjaro

 

 

舞台はフランス南部の港町・マルセイユ

労働組合の委員長ミシェル(ジャン=ピエール・ダルッサン)は会社から人員削減を余儀なくされ、リストラ対象者20名をくじで選ぶことにする

名前を呼ばれた面々は文句を言うでもなく素直に退職勧告に従う

ミシェルは委員長の権限で自分を対象から外すことが出来たのだが公平であるべきと考え、自分もくじに当たってしまい退職の道を選ぶ

ロッカーの荷物を持って帰宅、介護士として働く妻・マリ=クレール(マリアンヌ・アスカリッド)を職場に迎えに行き食事に誘う

妻の様子を窺いながらリストラの件を切り出すミシェルだが、マリ=クレールは「英雄と暮らすのは疲れる、お腹減った? 何にしましょ」と笑顔で受け入れるのだった

長年連れ添った夫婦、特に妻から夫への信頼と理解、そして深い愛情が伝わってきます

 

 

一緒に退職した仲間たちも呼んで開かれた、二人の結婚30年を祝うパーティで子供たちから送られたのは宝箱

中には、子供たちが節約して貯めた現金とキリマンジャロ行のツアー切符が入っていました

数日後、自宅で義妹夫婦とカードゲームを楽しんでいると強盗が押し入り、自宅にあった現金や銀行のカード、ツアー切符まで奪われてしまう

強盗は、現金とツアー切符の入った箱の存在を知っていました

そこで犯人があのパーティにいた人間だと想像がつきます

楽しそうに過ごしていた参加者の中に、そういう悪人がいたのです

 

 

ある偶然から、犯人が一緒に退職したクリストフという若者だったことが分かります

ミシェルの受けた衝撃は相当なものでした

逮捕された彼の刑期は8~15年

彼には面倒を見なければならない幼い弟が二人いましたが、両親とも所在不明で彼が刑務所にいる間弟たちの世話をできる人間はいません

何故、彼はお金を得るために強盗という手段を選ばねばならなかったのか

現在フランス社会が直面している問題が浮き彫りになってきます

リストラされても数か月後には手当が出て、持ち家もあり、子供たちは独立、週末は海へ遊びに行けるミシェルに比べて、就業後間もなく失業したクリストフは手当もなく、低所得者用のアパートも家賃の滞納が続けば追い出されてしまうという切羽詰まった状況に置かれていました

同じ労働者階級であっても世代間には大きな溝があり、各々の家庭の事情を考えず、くじで退職者を選ぶのが公平だと考えたことが誤りだったことに気づきます

クリストフが出所してくるまでの間、弟たちの為に何かできることはないのか

 

マリ=クレールは、夫には内緒で介護士の仕事の後、週に数日弟たちの食事を作りに行き、洗濯をしたり話し相手になってやります

一方、ミシェルはキリマンジャロ行の切符を解約し彼らの生活費にしてもらおうと考え、留守のアパートを訪ね現金を置いて帰ろうとしますが、偶然会った近所の女性から、彼らは施設に預けられることになるだろうと聞かされ、ある決心をします

 

岸壁で海を見つめる妻を探し出し、自分の決心を伝えるミシェル

この後は、映画を観てのお楽しみです♪

 

 

両親の決めたことに抵抗感を示す子供たちは理解出来ます

常識的にそういうものでしょう

労働組合でずっと闘ってきたミシェルと同志ともいえるマリ=クレール

厳しい状況に置かれても人を思いやることの大切さが伝わってきます

 

 

クリストフはミシェルに対しては攻撃的ですが二人の弟には優しく面倒見の良い兄であり根っからの悪人ではありません

弟たちが生活苦のわりにとても素直で明るいことに救われます

 

 

キリマンジャロ行きを放棄したミシェルとマリ=クレール

海岸で遊ぶ人たちを、餓えた牝ライオン、ヌー、キリン、フラミンゴ、カバなどに見立てて楽しみます

港町・マルセイユの明るい太陽の下で暮らす彼らは、遠くに旅をしなくても、この町で十分に幸せな生活を送れるのでした

 

 

 

マリ=クレールが一人で入ったバーのバーテンダー(ピエール・ニネ)

とってもイケメンで目の保養になりました(笑)

 

 


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