角川書店
2013年1月 初版発行
327頁
少年はひとりで島に降り立った
孤独な心を抱えて
彼を待つ老人の耳には、十字架のピアスが揺れていた
小笠原で少年が出逢った「月の魔法」の奇跡とは?
主人公は小学五年生の重森昇治
父親が自殺し、母親には恋人が出来た
GWを利用して母親の知り合いで、小笠原島でジュークボックス・カフェを経営している若々しくてカッコイイ老人・エーブの元にたった一人で来た昇治
多分、母には捨てられたのだろう、迎えに来ると言っていたけれど絶対に母は来ない
そう思い込んだ少年の深く傷ついた心を小笠原の美しい自然とエーブや仲間たちが優しく包み込んでいく
エーブや仲間たちと接することで、母親と二人で暮らしていた時には素直に言葉に出来なかった感謝の気持ちや、自分の為すべきことを自分で考えて行動に移すことが出来るようになる昇治
同じ船で小笠原に来た少女・加絵も「父親が自殺しそう」と思っており冷たい目をしている
エーブと昇治は加絵親子を誘って地平線から昇る月を見るために中央山に登るのだが、そこである「奇跡」が起きる
昇治も加絵も子供らしい「思い込み」で勝手に悩んでいたのですが、昇治の母親、加絵の父親も素直に自分の子供に接することが出来ず、誤解の上に誤解を重ねた微妙な親子関係にありました
エーブたちの言葉や行動にきっかけを得て、昇治と加絵はGWの短い間に目覚ましい成長と変化を遂げます
それにつられるように昇治の母親、加絵の父親も背負っていた重い物に対処する心構えが出来ていったようです
エーブの店にある誰も座らない予約席
ジュークボックス・カフェなのにジュークボックスは無いし音楽も無い店
このエピソードには泣かされました
いつものようにティッシュ片手に読み終わり、爽快感に包まれた作品でした
映像化されたら観たいなぁ
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