ちくま文庫
2011年11月 第1刷発行
解説・金原瑞人
309頁
性格は「モード」で変わる
心理学のかしこい使い方
第1章 性格は変わる!
第2章 性格はどう作られ、どう変わるか
第3章 血液型性格判断のウソ
第4章 「性格」の歴史、そして未来
第5章 性格は「モード」で変わる!
自分も含め、性格を変えたいと考えている人は多いと思います
では「性格」とは一体どんなものなのでしょう
まずは、そこから始めてみましょう、という本書
面白いです
心理学の知識を使って説明される「性格」は、今まで自分が考えていたものとは随分違うものに見えてきます
人は色々なことを事実よりも単純に考えるし、シンプルで簡単な手続きでの説明や予測を好む
人種差別や偏見がなくならない根本には「人種によって人柄や能力が違う」という単純な理屈で人間を理解し、ひとりひとりの性質を予測しようとする心がある
実際には同じ人種でも人間はひとりひとり違い、人種だけからその人を理解したり説明したりすることはできない
しかし、人々はそういう単純な説明に簡単に魅了される
血液型性格判断の流行にも、四つの血液型だけで性格がわかる、というシンプルなシステムが人々の要求にピッタリ合ったことが関係している
著者(第3章・渡邊芳之氏)はよほど血液型性格判断がお嫌いなのか、かなりの頁を割いて反証を述べておられます
長すぎるきらいはありますが、今まで漠然と「自分には合致しない」と感じていたので納得できる部分が多かったです
第5章(サトウタツヤ氏)では「モード」を状況に応じて意図的に変えていけば、他人から見える性格を変えていける、ということがわかりやすく丁寧に説明されています
TPOよって話し方や態度を変えるなど、おそらく知らず知らずのうちに実践している人は多いでしょうが、自身で意図して性格を変えてみると、かなり望ましい社会生活が送れることになりそうです
あとがきより
私たちの目に見えていることがいつも真実とは限らない
私たちはつねに自分の目を疑う、自分の素朴な認識を疑う、クールな科学の目を持つべきです
性格のみならず、自分について、他人について、社会について、世界について、批判的に科学的にクールに考えてみよう、という本でした
難しそう、と思ってしまう心理学からのアプローチも、本書のようであれば面白く読めるものです
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