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映画・チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~

2012年11月12日 | 映画(海外)

 

2011年 フランス・ドイツ・ベルギー合作

原題 Poulet aux prunes

 

 

天才音楽家ナセル・アリは死ぬことにした

大切なバイオリンを壊されたから

 

最期の8日間で人生を振り返るナセル・アリ

空っぽな音だと叱られた修業時代

絶大な人気を得た黄金時代

誤った結婚、怖くて愛しい母の死

大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮

そして今も胸を引き裂くのは叶わなかった恋

やがて明かされる奇跡の音色の秘密とは?

めくるめく人生の走馬灯

切なく胸を締め付けられる甘酸っぱい本物の人生の味

 

 

映画冒頭、ナレーションが語ります

「1958年の秋テヘランの街角で、この物語の主人公ナセル・アリに出会った」

街角の様子が三谷幸喜監督の「マジック・アワー」に出てくる街によく似た雰囲気で見慣れない外国の街という感じがせず、すんなりと映画の世界に入ることができました

 

芸術を理解しない妻・ファランギース(マリア・デ・メディロス)に何よりも大切なバイオリンを壊されたナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は絶望の中、代わりのバイオリンを探しに街を歩く

弟に紹介された店で買ったバイオリンを手に帰宅途中に見かけた若く美しい女性

「イラーヌ?」と声をかけますが彼女は「あなたとは会ったこともありません」と微笑みながら去っていく

 

結局、壊されたバイオリンと同じ音色が出せる楽器は見つからず、音楽を奏でる喜びは永遠に失われた

そういうわけでナセル・アリは死ぬことにした

8日後に亡くなるまで、彼は自分の人生を振り返った

 

1日目

死に方を考えた

痛くない方法、最高のバイオリニストの名を汚さない方法

ただベッドに横たわり死の訪れを待つことにした

 

2日目

夫の異変に気付いた妻は夫の弟・アブディ(エリック・カラヴァカ)に相談

様子を見に来たアブディとナセル・アリは最後の兄弟喧嘩をする

 

3日目

子供たちに遺言を伝えようと思い立つ

しかし、芸術家の心を全く解さない息子のせいで台無しになってしまう

 

4日目

若き日、名匠に弟子入りしたナセル・アリ

「テクニックは完璧だが君の音楽はクソだ」「人生は吐息、人生はため息、このため息をつかむのだ」と言われる

師匠の言葉の意味がわからず街角に座り込むナセル・アリは美しい女性イラーヌ(ゴルシフテ・ファラハニ)に一目ぼれをする

 

5日目

母・パルヴィーン(イザベラ・ロッセリーニ)の死を思い出す

母は、生きるのは苦痛だから逝かないよう祈るのは止めて欲しいと言い、庭でバイオリンを弾くよう頼まれる

その音色に誘われるように母は煙となってこの世を去った

 

6日目

死の天使アズラエル(エドゥアール・ベール)が現れる

あれほど死を望んでいたナセル・アリだがいざとなると怖くてしかたがない

ここで、映画のナレーションがアズラエルであることがわかります

真っ黒な顔に目と歯だけが見えて、もし本当に目の前に現れたらゾッとしそうな外見ですが、意外にもお茶目で、自分は自分の仕事をするだけだ、という感じです

伊坂幸太郎さんの「死神の精度」を思い出しました

 

7日目

いよいよ死が迫ってきたナセル・アリ

ベッドサイドで泣き崩れる妻の頬に手を伸ばし、和解の意思を示す

妻は本当は夫を愛していたのですが、芸術に嫉妬のあまり夫に辛く当たっていたのです

 

8日目

4日目の夢の続き

イラーヌの父親の猛反対で叶わなかった恋

皮肉にもナセル・アリは最愛の人イラーヌとの別れで、師匠の言葉の意味を理解し、演奏旅行で世界を周り絶賛されます

父親の勧めた相手と結婚し娘が生まれ、孫も出来たイラーヌ

彼女が本当の自分に戻れるのはラジオから聞こえるナセル・アリの演奏に耳を傾むける時だけでした

別れてから20年の後、街角で孫を連れた年老いたイラーヌとナセル・アリはばったり顔を合わせます

「イラーヌ?」と問うナセル・アリに対し面識はないと答えるイラーヌ

彼女の心には今もナセル・アリが生き続けているのですが、夫や娘、孫との生活を変えるつもりはありません

冒頭で、ナセル・アリが声をかけたイラーヌが現実の彼女とは違い若く美しかったのは、彼の記憶の中のイラーヌだったからなのです

見事な演出だと思いました

曲がり角を曲がってから感情を迸らせ号泣するイラーヌ

ナセル・アリの葬儀をそっと遠くから見つめるイラーヌ

ここは、ジーンときました

愛する人に添い遂げられなかった哀しみの深さが伝わってきます

 

 

もし、あの時別れた人ともう一度やり直していたら

など、ふと思うことはあります

どうなんでしょうね

そんなことを繰り返し思いながら、目の前の生活を続けるのが人間なのでしょうか

 

 

 

幼少の頃のナセル・アリ、結婚式のナセル・アリ

幼い娘や息子が成人し、その後どんな暮らしを送ったか

時間や物語があちこち飛ぶし、ファンタジーっぽい展開をみせたり、アニメーションが入ったり

忙しくて一体どうなるのやら、は8日目の夢で一気にまとめられます

 

 

あまり期待せず観に行きましたが意外や意外、私のツボに見事に入りました

 

 

 

マチュー・アマルリックと生瀬勝久さんが重なるのは何とかならないものか、と思いつつ

日本版で映画かドラマにしてもらえないかしらとも

勿論主演は生瀬さんで

 

どうでしょうか?

 

 それにしてもゴルシフテ・ファラハニは本当に美しかった!

 

 

 

 


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2 コメント

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ツボに^^ (latifa)
2013-06-06 18:22:23
こんにちはー!
さっき見終わったばかりなのですが、私も良かったです♪
特にラスト30分の、恋愛模様は、凄く良かった~。

最初の方は、アメリっぽいかな~なんて思ってて(アメリも好きな映画です^^)、でもラストの展開で、ぐぐぐっ!と盛り上がって、いいところで幕が下りたのもポイントあーっぷ!!

いやぁ~イラーヌ、、、美しかった・・・。
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latifaさん (こに)
2013-06-06 19:22:55
良かったですよね~。
あんな絶世の美女が、なんでナセル・アリみたいな男性に?
と思うのは野暮ってもんでしょうか。
成就しなかった恋ほど美しいものはない、ってとこですかネ。
本国ではどのような位置づけなのかわからないのですが、死の天使・アズラエルのキャラクターが良い味付けになっていたように思いました。
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